職業安定法とは?職業安定法に関する疑問を徹底解説!!

職業安定法とは?職業安定法に関する疑問を徹底解説!!

職業安定法とは?

全5章67条から成る法律で、職業紹介や労働者の供給を定めています。

職業安定法第1条によると、同法の目的は

「雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。」

とされています。

職業安定法施行規則とは?

まず、施行規則とはどういうことかというと、その法律を施行するにあたって必要な細則、法律事項のことを指します。

これは職業安定法に限らず、あらゆる国のあらゆる法律に、最初に定めてあります。

例えば、今回の職業安定法でいうと、同法の施行規則には以下のようなことが書かれています。

「職業安定法施行規則を、次のように定める。
(職業安定組織の定義)
第一条 この命令で職業安定組織とは、厚生労働省職業安定局(以下「職業安定局」という。)、都道府県労働局、公共職業安定所等すべての職業安定機関の組織をいう。
(法第二条に関する事項)
第二条 公共職業安定所は、できるだけ多くの職業について求人開拓に努めると共に、求職者に対しては、できるだけ多くの適当な求人についての情報を提供し他に、より適当な求職者がない場合においては、その選択するいかなる職業についても紹介するよう努めなければならない。
(法第三条に関する事項)
第三条 公共職業安定所は、すべての利用者に対し、その申込の受理、面接、指導、紹介等の業務について人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、差別的な取扱をしてはならない。
…」

こんな感じで、長々と職業安定法の補足的な内容が続きます。

職業安定法の改正内容と重要なポイントとは?

厚生労働省によると、平成29年3月31日に職業安定法の一部改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立、そして平成30年1月1日に改正職業安定法が施行されました。

改正された同法では以下の点で変更点があります。

職業安定法改正点①最低限明示しなければならない労働条件の追加

1つ目は、「最低限明示しなければならない労働条件の追加」です。

従来の職業安定法では以下の点を明示する必要がありました。

 

  • 業務内容
  • 契約期間
  • 就業場所
  • 就業時間・休憩時間・時間外労働
  • 休日
  • 賃金
  • 加入保険(雇用保険、健康保険など)

 

今回上記の事項に加え、以下の点が追加されました。

  • 試用期間
  • 時間外労働(裁量労働制を採用している場合)
  • 賃金(固定残業代を採用している場合)
  • 募集者の氏名、又は名称
  • (派遣労働者として労働する場合)雇用形態の明示

 

それでは一つ一つみていきましょう。

試用期間について

試用期間中は時給が低くなったり、交通費しか支給しないなど本採用に比べ労働条件が低くなることが多々あります。

トラブル防止のためにも、今回試用期間の明記が義務となりました。

時間外労働(裁量労働制を採用している場合)

裁量労働制の場合は、残業代は原則出ません。

それを明記していないとサービス残業をさせられていると誤解されて、トラブルになりかねません。

そういったトラブルを未然に防ぐためにも、裁量労働制であることの明記が義務化されました。

賃金(固定残業代を採用している場合)

固定残業代を採用している場合、時間外労働の有無にかかわらず、残業代が払われるため、「固定残業代を入れた月給40万円」とかかず、「月給40万円」と書かれる事があります。

こちらも「残業代が払われてない!」と、トラブルが起きやすいので明記する必要があります。

募集者の氏名、又は名称

労働者を雇用しようとする人と、実際にその募集を行っている人が同一でない場合ってありますよね。

そうすると、労働者としては不安要素になりかねません。

労働者が誰と、雇用契約を結んでいるのか明記する必要があります。

(派遣労働者として労働する場合)雇用形態の明示

派遣会社などですね。

しっかり、派遣会社で働くのか、派遣労働者といて派遣先企業ではたらくのか明記する必要があります。

職業安定法改正点②労働条件に変更があった場合は速やかにその旨を伝える

労働契約締結までに、当初募集していた労働条件が変更される場合は、分かった時点で速やかに求職者に知らせる必要があります。

応募したときに月給40万と書いてあったのに、その後35万円に下がってたら、騙されたと感じる方もいるはずです。

変更を明示する際のポイント

変更する際の例として、厚生労働省の「労働者を募集する企業の皆様へ」によると、以下の例が挙げられています。

「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月

「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

また変更する際には、求職者が変更されたことがわかるような方法をとることが大事です。

例として、

  • 変更前の労働条件と変更された後の労働条件を対照できる書面を交付する
  • 労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたりマーカーで着色したりする
  • 追記、脚注をつける


方法があります。

職業安定法改正点③労働条件明示にあたって遵守すべき事項の制定

改正職業安定法では以下の遵守すべき事項ができました。

  • 明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容であってはいけない。
  • 試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなければならない。


参考厚生労働省ー職業安定法 改正

職業安定法に違反するとどうなるの?

職業安定法第5章の罰則規定によると、もし脅迫や監禁、虚偽広告などその悪質さによって刑罰はバラバラですが、半年~10年以下の懲役、または30~300万円以下の罰金刑があります。

また、労働者供給事業で不正があった場合、許可の取り消し、事業停止命令、改善命令の行政処分を受けます。

職業安定法まとめ

  • 職業安定法は全5章67条から成る法律で、職業紹介や労働者の供給について定めている
  • 平成29年度の同法改正により、最低限の労働条件明示事項の追加、労働条件変更時の速やかな通知、労働条件明示の際の遵守すべき事項の制定が盛り込まれた
  • 同法に違反した場合は、最高で懲役刑が科される

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