企業理念の浸透で生き残る企業に!従業員の行動を変える浸透方法は?

企業理念の浸透で生き残る企業に!従業員の行動を変える浸透方法は?

かつて「ビジョナリーカンパニー」というビジネス書が一世を風靡しました。これは長期にわたって成長を続けている企業を調べたところ、どれもビジョン、つまり企業理念をしっかりと持ち、従業員がそれを仕事上の指針や判断基準にしているという共通点があった、という内容の本です。

まさにその通りで企業理念はその企業を持続的に成長させる要素の1つです。しかしその条件は「企業理念が従業員に浸透していること」です。これがなければ企業理念はただの「お題目」として従業員の行動の指針にならず、その結果企業の成長に貢献しません。

ではどのように従業員に企業理念を浸透させ、そして従業員のの行動を変えていけばいいのでしょうか。ここではそのための方法をご紹介します。

企業理念を作った時に陥りやすいワナ

多くの企業が企業理念を作ります。あるいはそれは「ビジョナリーカンパニー」になることを目指してでしょう。しかしその際に、同時にこれも多くの企業が陥りやすい以下のようなワナがあるのです。

あれは現場を知らない管理部門が勝手に作ったもの

まず、内容が現実や従業員の「思い」とかけ離れていて、または従業員を全く関与せずに作っていて、作ったものの「あれは密室で現場を知らない人間が作った作文」とそっぽを向かれてしまうことがあります。その場合、その理念は無視されるか、あるいは反感さえ買ってしまいます。

毎朝の唱和は教条主義の始まり

さらに作った企業理念を毎朝従業員全員で唱和することもワナです。それをルール化した人間は、それによって従業員への浸透が図れると思ったのでしょうが、内容の理解や共感がないまま唱和しても、それはただの形であり、教条主義です。特に若い社員は唱和すること自体「ブラック企業の特徴」だと思っています。

事業部門のトップが心底理解し、共感していない

また肝心の企業理念に沿って事業を推し進めるべき事業部門の責任者が、理念をしっかり理解し、心から共感していない場合があります。

そうなると当然、その事業は理念とは関係なく進みますし、場合によっては責任者が会議などで企業理念について否定的な発言をしたりします。従業員は身近なトップの顔色を見て仕事をしますから、これでは絶対に浸透しません。

作るプロセスに従業員を参加させる

そのような「悲劇」を起こさないためには、企業理念を作るプロセスそのものに従業員を関与させ、巻き込む仕組みや仕掛けを入れることが重要です。それには以下のような方法があります。

インタビュー、オフサイトミーティング

まず草稿を作る前段階として、各階層、各部門、各職種の従業員のできるだけ多くの「思い」をすくい上げることです。

内容は「仕事をしているうえで大切にしていること」「自社が提供している価値」「それを感じる瞬間」の3つで、方法はインタビューや、アルコールなどを入れてリラックスした雰囲気で行うオフサイトミーティングなどがよいでしょう。

社内SNS

また、社内ネットワーク上に、上記のテーマについて自由に話し合える社内SNSを立ち上げてもよいでしょう。ただし、活発に意見が出るようにするためには、どのような発言が出ても評価は反映させない、責任も追及しない、ということをトップの発言として宣言することがポイントです。

公募、投票

また理念の公募とそれに対する従業員の投票ということも従業員の関心と参画意識を高めます。
ただし「企業理念について」というようなタイトルではハードルが高いので「一筆啓上。わが社への愛の手紙」などのような企画がよいでしょう。

内容に共感性を持たせる

また、できあがった企業理念が従業員に共感されないと「お仕着せ」だと感じ、浸透しません。そうならないためには以下がポイントです。

難しい言葉は使わない

まず従業員が普段使わないような難しい文言や英語などは使わないことです。新入社員や製造現場の従業員でも理解できる言葉を選びましょう。企業によってはグローバル化などを目標にしているのなら、英語などを使っても大丈夫でしょう。

自分たちの企業のイメージにあった企業理念にすることが大事になります。

また、インタビューやオフサイトミーティングですくい上げた従業員が日々感じているリアルなやりがいを連想させる内容を入れることで、さらに浸透しやすい企業理念を作ることができるでしょう。

人としての共感性に訴える

また企業としての宣言という位置づけだけではなく、「個人」という人間としても共感できる内容を盛り込むこともポイントです。たとえば、愛情、友情、信頼、家族、幸せなどの、人間なら誰でもポジティブに感じる要素です。

かっこいい言葉を使う

だからと言って、陳腐で「普通」の言葉や内容では、従業員のモチベーションは上がりません。理念を読むたびにやる気が出たり、心が躍ったりする内容を目指しましょう。そのためには、かっこいい言葉の選択も重要です。

企業理念はできた時がまず勝負

企業理念が新たにできるということは従業員にとって大きなニュースですから、この発表時に共感と浸透を実現するプロセスを入れましょう。

このタイミングを逃すと、ニュース性がなくなり、興味が薄れ、せっかく作った企業理念は埋没していきます。そうならないようにするためには以下を行いましょう。

トップにコミットさせる

まず発表時に、トップ自らできるだけ熱い言葉で企業理念について語ってもらいましょう。その姿勢を見て従業員は自社の「本気度」を測ります。 上司たちが理解、共感していないと他の従業員に浸透するはずがありません。

階層別合宿で背景と思いを直に伝える

また各部署の部長や各部署の若手社員など、階層別に集め、オフサイトミーティングの延長という感じでの、できれば泊りがけの合宿を実施して下さい。

テーマは「企業理念から感じたこと」「企業理念の内容を実感したできごと」にして、その冒頭には企業理念の開発担当者が、この文言に至った背景と、担当者としての個人の思いをこれも熱く語ることが重要です。

また実施の順番も大切です。事業部門のトップがそっぽを向くと絶対に浸透しませんから、まず事業部長クラスを先に行いましょう。

オフサイトですから、夜は必ずアルコールを入れて、さらに思いの浸透を図りましょう。ここでどれだけ「共感者」を作れるかが勝負です。

草の根運動を覚悟する

いずれにしても、職制に沿って粛々と進めたのでは絶対に浸透しないと覚悟してください。選挙運動における候補者のように、従業員が集まる場所にはどこにでも出かけて理念について語るような草の根運動が必要です。

日々の仕事の中に仕組みとマインドで反映させる

また毎朝の唱和には賛成できませんが、日々の仕事の中で反映させる以下のような仕組みは必要です。

唱和ではなく、シェアを

唱和のよくないところは「内容を理解していないのに言葉の浸透だけを行おうとする」点です。重要なのは「理念をどう理解したか」「それに沿ってどう行動をしたか、変えたか」ですので、週1回程度部門やチームでそれをテーマにしたミーティングを実施させましょう。そこでも大切なのは「発表→評価」ではなく「シェア(分かち合い)→共感」という流れをつくることです。

また同じような「シェア」の方法として、社内ニュースで流す方法もあります。社内報を利用して社員全員に聞いてもらうこともいいでしょう。

理念に沿った仕事、行動を、横同士で賞賛させる仕組みを作る

理念に知った行動や判断を従業員同士が認め合い、賞賛させる仕組みも有効です。たとえば「サンキューカード」という形で、ある従業員が理念に沿って行動しそれによってほかの従業員が助かったり、感動したら、その内容を書いて贈る、ということを実施してもよいでしょう。

目標管理、査定に入れ込む

とは言え、従業員は自分の昇格や昇給に関連する評価には当然敏感ですから、個人別目標管理や、査定に「理念に沿った行動への評価」を入れ込み、それを上司との面談でフィードバックするむことも大きな効果があります。

ただし、基本は加点主義にしないと、反発を招くので注意しましょう。

心理的なインセンティブを設ける

褒められること、賞賛されることは本人だけではなく、周囲の人間にも大きなアピールになり、理念を実行しようというインセンティブになります。

本末転倒ではありますが、インセンティブに惹かれて行動を変えているうちに理念が理解でき、浸透していくケースも多々あるので、清濁併せ飲んで実施しましょう。

たとえば以下のような方法です。

年1回の社員集会、創業パーティなどで、理念を冠した賞を出す

ここでよりインパクトを与え、従業員を刺激するには、表彰者には決してエリートではなく、普段目立たない従業員や、地味な業務を実直にこなしている従業員を選ぶことです。これは「そこまで会社は見ている」というメッセージになり、多くの非エリート社員のモチベーションと愛社精神の発揚になります。

理念が浸透し、行動が変わった企業は絶対に生き残る

いかがですか。

企業理念は「形」です。それに「魂」を入れるには、その理念が従業員の心の奥まで入り込み、日々の仕事の指針や判断基準となり、その結果行動が変わっていくことが必要です。そしてそれができた企業は「ビジョナリーカンパニー」になり、この厳しい競争環境の中、長期にわたって成長を続けることが可能になります。

企業理念を作る時には、そこまでを目指した仕事なのだということをしっかり理解して取り組んでください。

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