未経験でも弁理士に転職できる?弁理士資格や仕事内容の基礎知識を解説します
- カテゴリ名:転職の基礎知識Q&A
インターネットの普及にともない、情報だけでなく音楽、デザイン、新しい技術の発明など様々な分野のものが手軽に流通するようになりました。そうした環境のなかでわたしたちが気をつけなくてはならないのが著作権をはじめとした知的財産のもつ権利です。知的財産とは人が知的な活動をしたことで創造されたもの全般をいい、不当な使用から守られなくてはなりません。しかし、そうした知的財産の権利を得る手続きは非常にやっかいで、専門的な知識がないと手が出しにくいものでもあるんです。そんな時に一役買ってくれるのが、代理で知的財産県の手続きを行ってくれる「弁理士」なんですよ。
目次
弁理士とは?
自分の創作物を知的財産であると価値づけするためには「知的財産権」が必要となりますが、「知的財産権」を取得するには特許庁において手続きを踏まなくてはなりません。知的財産権は内容によって種類が分かれ、特許権、実用新案、意匠などそれぞれ異なる内容となっているので専門性の高い知識が必要となります。知的財産権を得なければ仮に創作物が使用されたときにも正当な権利を主張できないかもしれませんので、弁理士は権利を申請する手続きを代理で担い、製作者と創造物を不当な使用から守ってあげるんですよ。その活動範囲は国内だけに留まらず、グローバル化する社会のなかで各国に応じた権利を取得することまで及びます。世界レベルで仕事をしたいという人はさらなる知識、語学力をつけていくのもキャリアアップにつなげられそうですね。それでは知的財産のスペシャリストともいうべき弁理士の仕事はどのようなものなのか、弁理士になるために必要なことは何なのかもっと詳しく見ていきましょう。
弁理士の仕事内容
主な仕事は知的財産権の取得を代理で行うことになりますが、知的財産に関する知識を活かして企業を支えることもあります。
知的財産権を取得して権利を守る
ひとつ例に、特許権における手続きを見てみましょう。特許権は発明の中でも比較的程度の高いものに与えられるべき権利のことでしたね。まずは特許庁に特許権を得るための出願を行います。そして書類自体の審査、重複の出願を防ぐために出願内容の公開などいくつもの過程を経て、権利が与えられるべきと判断されたら特許料を支払い、ようやく特許権を得ることができるのです。企業または個人にとっては大切な技術を横取りされるのは防ぎたいものですが、なかなか自分でやるには手のかかる手続きなんですよ。
知識を活かしたコンサルティングも仕事のひとつ
適切な知的財産権を最善の方法で取得するのが弁理士の仕事ですが、知的財産に関する知識を活かして活躍の場を広げてもいるんです。知的財産権に関わるトラブルや、不当な使用を未然に防ぐための対策などコンサルティング業務を行うことも珍しくありません。様々な方法で権利を守っていくんですね。
権利を守るのは国内のものだけではない
弁理士は国内の権利のみを守るわけではありません。日本でつくられたものが海外でも権利が得られるように各国の法律、言語を学んで手続きをしたり、逆に海外から日本に権利を求められたときの対応をすることだってできるんですよ。国際的な仕事がしたい場合はさらなる勉強が必要になりますが、フィールドが広がることは大きなスキル、モチベーションの向上につながりそうですよね。
弁理士への転職で身につくスキル
専門職なので当然、弁理士としてのスキルは経験と共に磨き上げられていくでしょう。それに加えて、活躍していくフィールドに応じて得意分野を見つけられるはずですよ。
いかに確実に権利を取得するか
知的財産権の出願は、書類の不備、内容の不足などが原因で受け入れられないこともあります。弁理士は依頼を受けたものに対して、修正が明らかな場合は確実な修正を行い、どうしたら最善の方法で権利を取得できるかを試行錯誤しながら取り組んでいかなくてはなりません。しかし経験を重ねるごとに業務の容量をつかめるようになり、弁理士としてのスキルアップができるでしょう。
グローバルに活躍する場合は各国の法知識や言語力も
権利を取得する手続きの対象を日本だけに限らなければ、その分いっそうの勉強が必要にもなりますが知識も豊富さを増していくことになります。ずっと弁理士としてやっていくことを考えれば、複数のスキルを持つことは大きな強みになります。
能動的に行動するための正確な判断力
業務内容は知識、論理思考など自己裁量によるところが大きいので、自分で考えて仕事をすることが普通です。人の指示を仰いで仕事をするわけではないので、自ら考え、判断して行動していく力がさらに身につくでしょう。
弁理士は未経験でもなれる?転職できる?
弁理士は経験以前に国家資格が必要な職種なので、国家資格を取得しなければ始まりません。有資格者でなければ転職前に資格の取得を目指すところから検討してくださいね。
受験資格はほとんどの人にある
弁理士の国家資格は非常に難関であることで知られていますが、受験資格に大きな制限はありません。破産していたり、業務上、または刑事処分をうけているような場合は受験に制限がかかりますが、たいていの場合は心配いらないでしょう。
就職先は特許事務所だけでなく幅広い
資格を得たら、選択肢として特許事務所や法律事務所以外に企業で働くという道もあります。これは知的財産と関わりの強い会社ほど自社に知的財産をマネジメントする部署を設けているからで、興味のある業界で専属として働くことで、その分野に特化した知識や経験を得ることができますよ。
弁理士に必要な資格(ある場合)
英語を使いたい人はTOEICのように英語力を示す試験を受験してもいいですが、必須の資格は弁理士の国家資格のみです。ただし合格率も非常に低く、何度も受験を重ねてようやく合格する人が多数なので相当量の努力が求められるでしょう。
弁理士の国家資格は専門性が高く難関の試験
年に一度行われる弁理士の国家試験は3段階に分かれていて、それぞれの試験にクリアしないと次の段階に進むことはできません。5月の短答式試験から始まり、7月の論文式、10月の口述式全てに合格して弁理士として登録されることになります。
国際的に仕事をしたい場合にはプラスで英語も
出願の数が国内では横ばいなのに対して国際出願は増加傾向にあるため、英語や海外の法律に富んだ弁理士の需要は上がっていくことが予想されます。英語は端的に伸びていくものではないので、日常に少しでも英語とふれる環境をつくっておくのもいいかもしれませんね。
弁理士への転職が向いている人
高度の知識と技術が求められる弁理士ですが、どのような人が弁理士に適しているのでしょうか?業務の内容から、次のような特徴があげられます。
向上心があり、常に勉強を継続していくことができる
資格取得までも大変な道のりですが、いざ弁理士として働くことになっても継続して勉強をすることが必要と感じるでしょう。より深い知識を得るだけでなく、文書作成など不得意と認識する業務に関しては質を高めるためにも努力が求められます。堅実な仕事柄、まじめな人でなくてはなかなか勤まりません。
人から信頼されやすい人格の持ち主
企業の専属でなく依頼を受けて働く場合は特に、信頼を得られるかが依頼を受けるうえでの大きなポイントとなるでしょう。知的財産権の出願をするものに大切でないものはありません。確実に権利を得て、安全に情報を扱えるのか不安にさせるようでは弁理士として不適切です。業務対する姿勢、人柄、様々な角度から安心を与えられる弁理士になりたいですね。
弁理士で働く上で気をつけること
代理で知的財産権の手続きを行うという責任のある仕事を担っているので、働くうえで注意しなくてはならないこともしっかり頭に入れておきましょう。環境によって業務もリスクも異なってきますが、共通して言えることもあるので働く前に知識として知っておいてくださいね。
情報漏えいは一生の傷
まず、依頼を受けている何らかの知的財産について、情報を漏洩してしまうのは何があってもあってはならないことです。それがもし知的財産権を出願する前に流出し、他の誰かに先に出願をされてしまえば逆に権利が奪われるという事態も起こりえますよね。そんなことになれば弁理士として一生の汚点になりますし、何より依頼主への迷惑は計り知れません。なかには弁理士を介さずに自分の企業のなかで手続きを完結する企業もありますから、それなら自分でやればよかったということになります。
出願内容にミスがないよう確認を徹底
代理で知的財産権を取得するうえで、依頼主から創造物の情報を与えられるときは細かな認識の違いもあってはなりません。長い過程をクリアしてようやく知的財産権を得ても内容が違っていたのでは何の意味もないですよね。複雑な内容になるほど細部まで確認することが求められますので、知識、論理思考だけではなく相手と情報を交換するためのコミュニケーションも円滑なものにしていきましょう。
弁理士の活躍フィールドは広く、多様化している
弁理士は特許事務所などで知的財産権の取得を行うのが本来の仕事ですが、知的財産権に関わる多様な働き方もあるのがわかりましたね。所属の仕方も特許事務所や法律事務所だけでなく企業だったり、経験を重ねてから独立して開業をすることもできます。専門性の高い資格職ですので、資格を得れば一生もののスキルを身につけることができますし、そこからさらにグローバルな仕事に着手していくのか、とある業界に特化していくのかなど選択の幅も広げることができますよ。試験は難易度が高いので働きながら勉強をして合格する人も多いようです。もし弁理士の資格を取って働くと決めたら自分のライフスタイルにあった勉強方法を見つけて、資格取得のための勉強を始めましょう。未経験の転職はかなり難易度が高いかもしれませんが根気強く勉強を続けましょう。
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