転職・就職に成功する人に体育会系が多い理由

転職・就職に成功する人に体育会系が多い理由

就職氷河期になっても体育会系は強いと言われています。
そうだとすれば根拠はどこにあるのでしょうか。

就職人気企業の採用担当者は、体育会系に的を絞っているわけではないが社風にあう学生を選んでいたらそうなった、と言います。

体育会系出身学生が持つ、企業にマッチする長所や特性とは何でしょうか。

地頭がいいだけでは採用されない

企業も声を大にして、積極的に体育会系出身の学生を採用していると言えないのが本音です。
‘00年代前半は、TOEIC高得点で留学経験のある学生や、論理的思考能力があり理解力のある学生が好まれていました。

この様な地頭のいい学生を積極的に採用した結果、離職率が高くなったのです。
学生の個性と企業文化や特色のミスマッチが起こり、学生も新卒で入社する会社は「社会人としてのマナーや常識を短期間で憶える場所」と考え、3年以内で辞める人が続出しました。

リーマンショックを境に変わった事

体育会系学生に特化して採用を支援している人材派遣会社、アスリートプラニングの分析結果によりますと、’08年のリーマンショックを境に多くの企業が、体育会系の人材を求めるようになったと言います。

企業が社員に求めるのは組織への適応能力と目標達成能力です。
学生時代に参加した部活や、競技大会で得た成功体験により、体育会系出身の学生は、否が応でも、組織への順応能力と目標達成能力を身につけている所が強みです。

’08年から、会社のOB,OGが、自社にとって有力な人材を母校からスカウトするリクルーター制度が復活してきました。

入社年度や序列を重んじる銀行、損保各社が採用するこの制度は、企業と学生のミスマッチを防ぐので、今後も増える傾向にあるでしょう。

開成、灘出身者は何故企業に残らないのか

有名進学校出身者で、体育会系であれば、いう事なしと思う人が居るでしょう。
東の開成、西の灘と言われ、この二校は全国有数の東大合格率を誇る進学校です。

この二校出身者で、経営のトップに上り詰めたのは、三菱電機の棚山氏(灘出身)なもので
開成、灘の出身者は、医師、弁護士、トレーダー、公務員、官公庁勤務が多いのが目立ち、
仮にこれら二校の出身でも、卒業生の収入格差は、他の私立進学校と比べ物になりません。

企業に就職するよりも個人事業主を選ぶのは、開成や灘の教育方針にあります。
開成や灘は、生徒たちに勉強の無理強いをするのではなく、自由奔放。
本人の好きなようにさせる事で、生徒が自ら考え、答えを導き出すのを手伝うのです。

その結果、企業に入る事が、人生のゴールではないという結論を導き出した彼らが選ぶ職業に医師や弁護士、公務員が多いという事になったと思われます。

人気企業社長も体育会系だった

新卒、中途採用者にとって気になるのは、体育会系の採用が強化されているからといって、企業のトップ、しかも世間への認知度の高い企業の社長が、元体育会系かという事です。

具体的な例で挙げますと、サントリーHD社長、新浪剛史・元ローソン社長です。
横浜翠嵐高校時代は、バスケットボール、慶應義塾時代は器械体操と、筋金入りの体育会系。

業績が傾いたローソンに招かれた時、毎日製品の試食をし、商品開発の一端として食べ歩いた結果あっという間に10kgも増えてしまい、周囲に当たり散らす日々を送っていたと言います。

これではいけないと思った新浪社長は一念発起、ダイエットして元の体型に戻すだけでなく、
今も定期的にジムに通い、役員たちも巻き込んで、社長重役が健康であればこそ、お客様の為になるいい商品やサービスが生み出せると信じているそうです。

日本で初めての損保を作った、東京海上HD・永野毅氏は、学生時代から水泳部所属。
海を遠泳リレーをする事になり、その時に、仲間が流されそうになったり、船が転覆すれば、漁師や自衛隊の人々に助けられたりした体験から、仕事には常にリスクがつきもので、リスク管理の上になりたつ成功体験を、水泳から得られた事が何よりだったと語っています。

業界のトップに居る2人に共通しているのは、自分の成功やミスは決して自分だけのものではないという事です。

彼らは、常に他人とつながっている事を意識し、選手であると同時に裏方である自分を意識し行動した事で、物事を主観だけでなく、俯瞰、客観で見る目線もつけているのだと思います。

企業が求める体育会系のかたち

企業が体育会系の学生に求めるのは、他の学部、部活動出身者に比べ、挨拶が出来る、礼儀正しい、人脈がある、年上に対して敬意を払える、粘り強い事です。

採用担当者曰く、エントリーシートの書き方や面接での小手先のテクニックを学んでくる学生が多くても、この様な社会人としてのマナーを部活を通して学んでくる就活生は、少ないという事です。

では企業が体育会系出身の学生に、どのような理想像を見出しているのでしょうか。

団体競技出身者が選ばれる理由

企業から評価が高い学生に共通しているのは、団体競技出身だという事です。
アスリートプラニングの分析結果によると、団体競技出身者の長所は、コミュニケーション能力の使い分けが出来る事にあるという事です。

面接の時は、企業の人事部は30分で学生の素質を判断しなくてはいけません。
学生側は、与えられた時間内で、自らをアピールするだけでなく、瞬発的に切り返しをしたり、その場に応じた対応をしなければいけませんが、団体競技出身者は、この能力に長けていると言われています。

入社後は、取引先や上司との意思疎通をはかるため、持続的コミュニケーションが必要とされますので、これも団体競技出身者が持っている強みです。

花形選手が何故敬遠されるのか

体育会出身といっても、最初から花形として活躍してきた人や、ボクシング、格闘技など個人競技出身者が、仕事で同じパフォーマンスを発揮できるかどうかは、企業が疑問視する所です。

個人競技出身者や、花形で活躍した人の中には、自分の失敗を素直に受け止められなかったり、一事が万事と受け止められない人が居ます。

この様な事を考慮すると、花形で活躍した人よりも、パーソナルトレーナーやマネージャーなど裏方で活躍した人の方が、企業に勤める上ではメリットになります。

何故なら、元々選手を目指していた人が裏方に周った場合、挫折から立ち直った成功体験が仕事にそのまま生きる上、裏方の仕事は、物事を俯瞰、客観で見る機会を与えられているからです。

成功体験を具現化する

企業が体育会系学生を採用する際重視するのは、スポーツを通じた成功体験を持ち、それをビジネスの場で具現化する能力を持っているかという事です。

設定したゴールに向けて道筋をたて,努力した経験を、ビジネスに生かせる人材かどうかを採用担当者は見ています。

日本では、スポーツ推薦枠があり、スポーツで優秀な成績を納めれば学業を免除されますが、諸外国ではそうはいきません。
諸外国では、学業まずありきで、成績がおもわしくない学生は、例えスポーツで優秀な成績をのこしても、レギュラーメンバーから外される事が当たり前となっています。

学業ありきの彼らは、そうした意味でも、日本の体育会出身の学生に比べ、文武両道で、成功体験を具現化する能力に長けているといっても過言ではないでしょう。

体育会系の強みは、当たり前の努力をビジネスに生かせること

体育会系出身者の強みは、すぐに成果が出ない事でも、どこまで頑張れば結果が出るか、1人で出来なくても何人集まれば目標をいつまでに達成できるか、部活で学んだ成功体験をビジネスに生かせる事です。

日々の基礎練習の積み重ねが土壇場で生きる事を知っているので、当たり前をコツコツ積み重ねる事で成果が出る事も知っています。

転職するにしても、会社で生き残るにしても、昇進するにしても、必要なのは失敗や挫折を成功体験に変えるための強靭な精神力と粘り強さ。

その能力が、体育会系出身学生にあると注目されているのです。

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