社員旅行は全てが福利厚生になるわけでは無い!社員旅行を行ううえで注意したいこと
- カテゴリ名:業界・職種・企業研究
- 投稿日:
皆さん、社員旅行という言葉にどのような印象を持っていますか。
従業員同士の親睦を深める楽しいイメージを抱く人、研修等を行うため面倒なイメージを抱く人など、その印象はさまざまだと思われます。
また、企業によっては社員旅行を実施していないところもありますので、そういった企業に勤める人にとっては馴染みの無い制度かもしれません。
しかし、実は社員旅行には従業員側では知らないさまざまな条件や実施にともなうポイントが存在するのです。
今回は、そんな意外と知らない社員旅行の裏側についてご説明していきます。
目次
社員旅行は「法定外福利厚生」のひとつです!
まず、福利厚生という言葉の意味を知っていますか。
福利厚生とは企業が従業員に対して給与や賃金にプラスして支給を行う非金銭報酬のことを指し、福利厚生が制度として充実することで従業員やその家族は安心、安定した仕事や生活を送ることが出来るのです。
そして、この福利厚生は2つの種類に分類することが出来ます。
1つ目は法律により加入が義務付けられている社会保険制度を指す「法定福利厚生」と呼ばれるものであり、2つ目は法律による実施義務のない、企業が独自に設定や運用を行っていく「法定外福利厚生」と呼ばれるものです。
社員旅行とはこのうち「法定外福利厚生」に含まれるものであり、その実施は法律による定めなどは無く企業が従業員に対して福利厚生の充実や従業員のモチベーションアップのために行っているものとなります。
せっかくの社員旅行!福利厚生として行うには条件がある
従業員にとってせっかく参加を行う社員旅行ならば、研修などが無い楽しく自身への負担が無いものを希望する人が多いことだと思います。
しかし、社員旅行を福利厚生として企業が実施を行う際にはいくつかの条件が発生するのです。
ここでは、社員旅行を実施するうえで企業が気を付けなければならない大きなポイントをご紹介していきます。
条件1:参加人数に注意が必要です!
まず気を付けなければならないのは社員旅行への参加人数です。
福利厚生として実施を行う場合、全社員へ平等に支払う費用であることが大切であり、社員旅行は基本的に全社員が参加し欠席者がいないことが理想となります。
特定の社員のみが参加を行う、欠席者が多く参加者が少ないなど一部に対しての旅行は私的なものとなり福利厚生として取り扱うことはできません。
そのため、社員旅行を福利厚生として実施する場合には全体の50%以上の参加が必要となるのです。
当日急な欠席等が出ても問題とならないように、実施する場合には十分な人数確保が必要です。
条件2:社員旅行の期間にも条件が!
次に気を付けなければならないのは社員旅行を実施する期間についてです。
福利厚生として計上するためには国内旅行の場合4泊5日以内であり、海外旅行の場合には機内泊を除き現地滞在日数が4泊5日以内におさめる必要があります。
そのため、上記期間より長い社員旅行を福利厚生として実施することは出来ません。
条件3:旅行の金額にも要注意!
最期に気を付けなければならないのが社員旅行を行う費用の会社負担額についてです。
企業が負担する金額は、「社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内」のものでなければ福利厚生として取り扱うことが出来ないとされており、簡単に説明すると「贅沢すぎる内容にしない」というものです。
そもそも社員旅行とは従業員の慰労や研修等を目的とした旅行であることが前提であり、あまりにも豪華な内容の旅行で会社負担額が大きい場合は旅行費用が給与として取扱いを受けることになってしまうのです。
そのため、社員旅行に伴う会社負担額はひとりあたりおおよそ10万円までが目安となっています。
なお会社負担額は上記のとおりとなりますが、従業員が費用の一部を負担することに問題は無く、負担分については給与から積立金として天引きする場合もあります。
しかし、この場合従業員に対しての説明もなく勝手に給与から天引きを行うことは労働基準法違反となりますので注意が必要です。
意外と知らない!福利厚生にならない旅行とは
ここまで社員旅行を福利厚生として取り扱うために大切な3つの条件をご説明してきました。
ここからは、社員旅行を行ううえで見落としてしまいがちな、しかし見落とすと福利厚生として取扱いが出来なくなってしまう重要なポイントについてご紹介していきます。
成績優秀者のみが対象の旅行
社員旅行を福利厚生として取り扱うための条件でもご説明しましたが、福利厚生とするためには全社員が対象である必要があります。
そのため、営業成績の優秀者のみを対象とするご褒美のような旅行を実施する場合は福利厚生としての取扱いをすることが出来ず、その旅行費用は給与所得という扱いになり課税対象となります。
福利厚生の一環として社員旅行を実施する際には必ず対象者を限定しないように注意しましょう。
会社役員のみが対象の旅行
一般社員ではなく会社役員のみが参加する社員旅行を行う場合にも注意が必要です。
会社役員のみによる業務外の旅行はすべて役員賞与という扱いとなり課税対象となります。
もしも業務上やむを得ず出張として旅行が必要となった場合には旅費交通費としての経理処理が可能となりますが、その際は領収書や旅程表など業務での旅行であることを証明できる書類を保管しておくようにしましょう。
取引先の接待を含む旅行
また、社員旅行にお世話になっている取引先の従業員や担当者を招待し接待を行う場合にもその費用を福利厚生として取り扱うことは出来ません。
接待を行う場合にはその旅費を企業にて負担することとなりますが、その場合取引先分の旅行費用については接待交通費として取扱いを行うことになります。
社員旅行不参加者に対しての金銭支給を行う場合
最期に注意したいポイントは、社員旅行に参加しない従業員に対してその旅費分を金銭支給を行ってはならないという点です。
金銭支給を行った場合、その金銭は給与として取り扱うこととなり課税対象となります。
この場合の金銭支給は現金のみを指すのでは無く、クーポンや旅行券などでも課税対象とみなされる可能性がありますので注意が必要です。
ちなみに従業員負担にて旅費の積み立てを行い、その旅費を返金する際には課税対象にはなりません。
条件を満たすためにも意味のある旅行を!
このように、福利厚生として社員旅行を実施するためにはいくつかの条件を満たし、注意点を守ることが大切です。
また、何より大切なのは従業員に「参加したい」と思って貰える旅行を企画し、旅行に対してしっかりと意味を持たせるということです。
次に、社員旅行を企画するうえで意識したい点をご紹介します。
社員間のコミュニケーションを活性化しよう
従業員が仕事を行ううえでコミュニケーションをとる人は、どうしても特定の人に限られてきます。
ですが、社員旅行を行うことで普段関わりの無い他の社員とコミュニケーションを取ることが出来ます。
社員間でのコミュニケーションが活性化することでストレスの軽減や作業効率の向上などをはかることが出来るでしょう。
組織全体の活性化を図ろう
また、社員旅行で従業員同士が時間を共有し行動を共にすることで、企業全体の団結力を高めることも出来ます。
企業にとって団結力の高さは、問題の解決能力の高さとなり、問題が解決することで従業員の仕事の安定に繋がります。
そのため、社員旅行を通じて組織全体の団結力を高め活性化を行うと良いでしょう。
社員のモチベーションを高めよう
社員旅行の目的が研修や従業員の慰労であっても、旅行であることに変りはありません。
仕事という場ではなく旅行に行くことで従業員のリフレッシュを行うことが出来るでしょう。
普段から見知った仲間と旅行しリフレッシュを行うことで仕事に対するモチベーションを高めることができ、また社員旅行を行うことで企業が従業員のことを気にかけているという姿勢を見せ、それにより従業員の企業に対する意識を高めることが出来ます。
大切なのは参加したいと思う旅行にすること!
社員旅行を行ううえで大切なのは参加者の確保であり、そのためには「参加したい」と従業員に思わせる旅行を企画することが重要となります。
これはただお金をかければよいというわけでは無く、旅行のテーマをしっかりと明確化させ、企業が独断で行うのではなく従業員のニーズを把握することが大切です。
福利厚生のひとつとして社員旅行の実施を!
いかがでしたか。
このように労働者にとっては何気なく行われている社員旅行ですがいくつかの条件やポイントが存在し、企業はその重要点を抑えつつ従業員にとって実りのある旅行を福利厚生として提供できるよう企画を行っているのです。
社員旅行の企画を行う立場の人は今一度ポイントを見直して従業員に対して有益な旅行の企画が出来ているか見直してみてはいかがでしょうか。
そして社員旅行に参加する立場の人は、旅行に参加することで自身にとってどんなメリットがあるのかを考えて参加してみると良いでしょう。
折角の社員旅行を企業側と従業員側双方にとって充実した内容にするため、社員旅行のポイントをしっかり把握しておきましょう。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitter で仕事を旅するキャリアジャーニーを
フォローしよう!