未経験でも心理カウンセラーに転職は可能?業務内容や資格試験について詳しく解説します。
- カテゴリ名:業界・職種・企業研究
転職を希望する方向けの求人サイトを見ると、心理カウンセラーに関する求人が数多くあります。そんなところから心理カウンセラーに対して、何らかの興味を持たれる方もいらっしゃることでしょう。
今回は心理カウンセラーになるには未経験でも大丈夫なのかどうか、そして心理カウンセラーの具体的な業務内容や働く上で覚えておきたいことについてまとめました。
目次
心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは、相談者の心に生じた悩みに対し、傾聴をはじめとするカウンセリング技法を用いながら相談者に相対し、悩みを解消する方向に向かわせるための支援を行っていく、メンタルに関する専門家です。
医師やコンサルティングと、カウンセラーが違うのは、前者が相談者に対し、指導・アドバイス的なアプローチを主に行うのに対し、カウンセラーは、自分自身では答えを持たず、相談者自身が解決の方向を見出すように支援してく立場を取るということです。
心理カウンセラーに向いている人とは
心理カウンセラーに向く素養には次のようなことがあります。
人の役に立ちたいという思いが強い
カウンセリングは、ただ単にスキルを身につければ出来るというものではありません。その根底には、相談者を支援していきたいという思いが明確にあることが必要になります。
自分自身も、深い悩みを抱いたことがある
人の痛みというのは、同じような悩みを持った経験がないとわかるものではありません。相談者と同じような悩みを持ったことがあれば、その人のつらさもわかりますし、そのことによって、より的確なカウンセリングをすることもできるでしょう。
細かい変化を見逃さない
カウンセラーは、相談者の様子を観察して、的確な受け答え、相談者への投げかけ等を行っていく必要がありますが、その為にも相談者のちょっとした変化に気づき、その上で適切な対応を取るスキルが必要となります。
精神科医との違いは
最大の違いは、精神科医は薬を使うことができますが、心理カウンセラーは一切使用できないという点です。
心理カウンセラーにはどんな場所で活躍しているのか
心理カウンセラーの活躍の場は様々で、現在ではネットも発達していることから、個人で集客してカウンセリングを行うという方もいます。
ここでは、「求人」という観点で代表的な活躍の場をお伝えします。
医療機関
病院やクリニックなどの医療機関です。精神科医等、投薬を行う医師と並行して心理カウンセラーがいる病院があります。また、心の病気以外にも、体の病気がきっかけで、精神的に不安定になることもあるので、そうした方の心をケアするという役割で、カウンセリング的な部署を設けている病院もあります。
教育現場
代表例はスクールカウンセラーです。相談の対象は必ずしも生徒だけではなく、保護者や場合によっては教師までと、広い範囲で対応します。多くの場合、臨床心理士の資格が求められます。
企業
企業分野では、企業内にある診療所に勤務し、従業員の心のケアを行うカウンセラーとして活躍する場面があります。
企業では、メンタルヘルスの問題による長期休養、セクハラ、パワハラなどの職場環境の問題、自殺、訴訟など様々な問題を抱えていますが、こうした問題に対処するため、メンタルヘルス対策の重要性はますます高まってきています。
状況によっては、カウンセリングのような対処療法的なアプローチだけではなく、社員教育等の予防保全の観点からのアプローチも求められます。
介護施設・相談センター
児童相談所、老人福祉施設、精神保健福祉センター、女性相談センターなどが活躍の場となります。
心理カウンセラーに資格はいるのか
結論から言えば、心理カウンセラーになるのに必須の資格というものはありません。ただ、現実問題として、何もスキルや経験を持っていない人に、誰かがお金を払って相談に来るということは考えられません。
また、人の心の問題に適切に対応するには、やはり相応の体系だった知識や、ロールプレイングをはじめとする訓練を相当数積まなければ出来る様にはなりません。そういったことからも、心理カウンセラーを志す方の多くは、何らかの教育期間で、知識やスキルを習得するために勉強をしています。
心理カウンセラーに関連する資格にはどのような種類があるのか
心理カウンセラーに関連する資格というのは、数日間で取得できるものから、数年間かかるものまで様々です。ここでは、心理カウンセラーの求人に掲載されることの多い、またはそれに関連する資格について記載します。
臨床心理士
民間資格の一つです。民間資格でありながら、資格を取得された方々がこれまで築き上げてきた実績、そして信頼感は高く評価され、現在の心理カウンセラーの求人において、求められる資格として記載されることの多いものです。
臨床心理士になるには、まず受験資格を得て、それから試験を受検し合格、合格後に資格認定証書の交付手続きと登録をすることが必要です。
受験資格は、「第1種指定大学院を修了」を選択するか、「第2種指定大学院を修了し、かつ心理臨床経験を1年経る」を選択するか、「臨床心理士養成の為の専門職大学院を修了」を選択するか、「医師免許取得者で、取得後、2年以上の心理臨床経験を有する」を選択するか、「諸外国で上記と同様の教育歴があり、かつ日本国内での心理臨床経験2年」を選択するか、のいずれかになります。
「第1種指定大学院」は、全国におよそ150校あります。修了すると、臨床心理士試験の受験が可能となります。
「第2種指定大学院」は、およそ10校あります。「臨床心理士養成の為の専門職大学院」になるとさらに校数は減りますが、およそ6校あります。
臨床心理士試験は、筆記と面接があります。
交付手続きが完了すると、「日本臨床心理士名簿」に登録されますが、登録後も5年に一度更新手続きを行う必要があります。
ここまでお読みいただいてわかるように、既に社会人になられた方がこの資格を取得するのは、時間的、あるいは経済的にもかなり大変と言わざるを得ません。
公認心理師
これまで、心理カウンセラーの資格は民間資格だったのに対し、公認心理師は、2015年に公布された「公認心理師法」に基づく日本初の国家資格として誕生した資格です。
公認心理師になるには、まず受験資格を得て、それから試験を受検し合格、合格後に登録をすることが必要です。
まず受験資格についてですが、次の3つのパターンがあります。
一つは、4年制大学で「必要な科目」を履修し卒業、卒業後再び大学院で「必要な科目」を修了するパターンです。
もう一つは、4年制大学で「必要な科目」を履修し卒業した後、一定期間の実務経験を経るパターンです。実務経験については、「保健医療」、「福祉」、「教育」、「司法・犯罪」、「産業・労働」に関する施設のうちのいずれかということで場所が指定されており、機関についても2年以上と定められています。
もう一つは、上記2つの同等以上の知識や技量を認定された人です。
国家試験は年に1回実施されます。
臨床心理士同様、社会人が取得するには厳しい資格と言えるでしょう。臨床心理士との比較で言えば、必ずしも大学院卒業まで求められていないという点が違うと言えるでしょう。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、企業で働く人がメンタル不調等に陥ることなく、健全に就労できるように、面談、電話によるカウンセリング等の手段により、企業内でのメンタルヘルス対策や、キャリア形成を支援することが求められています。産業カウンセラーという資格は、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が、産業カウンセラーとしての技量を認定している資格となります。
産業カウンセラーになるには、まず受験資格を得て、それから試験を受検し合格、合格後に資格登録の手続きをすることが必要です。
受験資格については、産業カウンセラー養成講座を修了することが必要です。通学で学ぶ方法と、通信で学ぶ方法があります。また、大学院で所定の専攻を修了し、所定の単位を取得していれば受験資格を得ることが出来ます。
ちなみに、産業カウンセラー養成講座の受講料はおおよそ25万円前後となっています。また、教育訓練給付制度に該当する講座でもあることから、所定の手続きを行い、講座を修了すれば給付金を受給することが出来ます。
給付金の支給額は、教育訓練にかかった費用の20%となっています。ちなみに、支給額の上限は10万円となっていますが、先程の例で言えば、50,000円程度戻ってくることになります。
産業カウンセラー試験は年1回実施され、学科と実技があります。合格率は65%~70%の間ぐらいです。
未経験から産業カウンセラーになった例とは
心理カウンセラーに関する代表的な資格を3つご紹介しました。既に社会人となられた方が転職を考えるのであるならば、臨床心理士や公認心理師よりは産業カウンセラーの方が、時間的、経済的にも取得しやすいと思われます。
産業カウンセラーの資格を取得される方の、資格の活用方法は様々です。既にカウンセラーとして活躍されている方が、企業関係の相談が増えてきたことから取得されたりするケースや、人事部門に所属されている方が、学んだ知識を活用して、社内で様々な相談があった際の対応力を高めるのに活用している等あります。
一方、心理カウンセラーの求人を見ると、臨床心理士などと並んで産業カウンセラーが記載されていることが多くあります。その意味では、未経験の方でもこの資格を取得することによって、転職できるチャンスを得ることは可能と言えるでしょう。
心理カウンセラーとして働く上で気をつけること
基本的には、カウンセラーは、相談者自身が自らの力で解決の方向を見出せるように支援する存在です。
したがって、カウンセラー自身が、「この悩みは、こういう方向で解決すべきだ」という思いを強く持ちすぎると、カウンセリングにも支障をきたしてしまいます。あくまで相談者が自分自身で答えを見つけられるように支援し続けること、ある時には方向性を見いだせるまで待つこと、待てることが必要になってくるでしょう。
未経験から転職するなら産業カウンセラー
心理カウンセラーの概要的なところから、資格習得のステップまで、幅広くご紹介させていただきました。社会人の方であれば、今回ご紹介した産業カウンセラーの資格を目指すことで、転職の道も開けてくるのではないでしょうか。参考にしていただければ幸いです。
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