未経験でもイラストレーターに転職?イラストレーターを徹底解説
- カテゴリ名:転職の基礎知識Q&A
- 投稿日:
イラストレーターという言葉を聞いても、漠然と「絵をかく仕事」というだけで、具体的なイメージが浮かばない人も多いのではないでしょうか。
絵をかくのが好きな人にとっては憧れの職業であり、副業としても活動できる点から、人気も高まっています。
そうした中で、イラストの用途も多様化・細分化が進んでいるため、業界についての知識を得ることは必要不可欠。
ここでは、意外と知らないイラストレーターの仕事を紹介します。
目次
イラストレーターとは?
企業や施設からの依頼を受けて、書面やパッケージなどの商業利用に向けたイラストを制作します。
一口に「絵をかく」といっても、作品に自らのテーマを投影する画家とは異なり、あくまで依頼主の要望をかたちにして納品するのがこの職業の役割です。
依頼の内容についても以下のように、さまざまなケースがあります。
目を引くためのメインビジュアル
近年では有名アーティストのCDジャケットなどにも用いられることの多い、ビジュアル性の高さが求められる依頼のひとつです。
宣伝用のポスターなどであれば、必要事項さえ盛り込んでいれば比較的オリジナリティを追求しやすく、技術や知識に加えて目にとまるようなセンスも問われます。
補足の役割をはたす挿絵
紙面に華やかさをもたらすような「装飾」としてのイラストから、文章だけでは分かりづらいことを「解説」するものまで、描く対象は多岐にわたります。
地図のように正確さがもとめられる案件もあり、個性よりもまず依頼を忠実に再現できるだけの技術や知識が求められるのが特徴です。
あくまでサブとしてではありますが、なくてはならない大切な仕事です。
商品や作品としてのイラスト制作
画家のような作品発表のかたちとは異なりますが、オリジナルの絵本を出す、キャラクターをデザインする、といった「自分の作品として」の仕事にイラストレーターとして携わる可能性もあります。
依頼の継続や別の仕事につながることも多いですが、その分めざしている人口も多く、なかなかに狭き門といえそうです。
イラストレーターの仕事内容
イラストレーターとして活動する方法は、事務所への所属とフリーランスに大きく二分されます。
事務所に所属している場合は業界へのネットワークが構築されやすいため、仕事が入ってくるチャンスは最低限保証され、サポート体制も整っています。
対してフリーランスの場合、チャンスが巡ってくる保証はありませんが、無所属だからこそ幅広い依頼に対応でき、思いもよらないチャンスを掴める可能性もあります。
さまざまな活躍の場がありますが、仕事内容はいずれも同じような流れになり、活動スタイルにかかわらず対応できるオールマイティーさが求められます。
制作に至る前から
まずは依頼主から、企画や求めるイメージについてのオリエンテーションを受けます。
ここで重要なのは依頼主の意図を正確に汲みとること、少しでも曖昧な点はそのままにせず納得できるまで質問すること、といった基本的なコミュニケーション能力です。
また、ある程度ヒアリングをしたところで、サンプルを制作することにより依頼内容も具体性を増してきます。
提示しては修正、というフローを依頼主に納得してもらえるまで何度も繰り返します。
さいごまで依頼に沿って
依頼主に納得してもらえたところで、ようやく清書に移ります。
内容にもよりますが、この段階で緻密さを増したり色を足したりしながら、依頼主だけではなく誰の目に映っても申し分ない作品に仕上げていきます。
もちろんその仕上げ方にも納得してもらえなければ修正の作業も発生しますので、根気が必要となる作業です。
納得のいく完成品ができたら、郵送やメールで納品をし、ようやくひとつの案件が終了となります。
イラストレーターで身につくスキル
なってから新しくスキルを得られるというよりは、これまで培ってきたスキルを生かす場と考えたほうがよいでしょう。
絵のうまさやセンスは磨かれるかもしれませんが、それ以上に自身で磨きをかけようと意識し、努力をすることが重要です。
年功序列のようなシステムのない世界ですので、常に向上心をもち、自分を売り込むだけの積極性を保たなければなりません。
営業と下請けのハイブリッド
とくにはじめのうちは、依頼主となり得る対象に自分の存在を認知してもらわなくてはなりません。
臆せず自分をアピールし、依頼を勝ち取るまでの過程はさながら営業職のようです。
その一方で、売り込むだけではなく、依頼を受けたところからは先方のPRを担う立場へと移ります。
自分の意見をはっきり言えて、相手の意見もしっかり聞ける、総合的なコミュニケーション能力が必要不可欠です。
デジタル化の波に乗る柔軟性
イラストの制作過程について決まったルールはなく、作風や作家によってその工程はさまざまです。
しかしながら、仮に画用紙に絵をかくようなアナログな手法が得意だったとしても、納品のためにスキャンをしたり、いくつかの図面を組み合わせたりといったデジタルな作業を避けては通れません。
場合によっては、はじめからコンピューター上で絵をかくことを要される依頼もありますので、革新を抵抗なく受け入れられる器量も必要です。
イラストレーターは未経験でもなれる?
イラストレーターという職に就くまでの経緯は実にさまざま。
デザインや広告関係の仕事をしていたが独立したという人もいれば、はじめからフリーランスで活動するなかで仕事を得ている人もいます。
経験がなくてはならないということはありませんが、実績があればあるほど自分を売り込む材料になります。
未経験でもできるアピールとは
依頼主の判断基準はあくまで、ニーズに合わせた実力があるかどうかや、納期や指示を守って仕事ができるかどうかです。
イラストに関係のないことでも、これまでやり遂げてきたプロジェクトなどがあれば十分アピールの素材になります。
また、アマチュアのコンクールに入選する、ボランティアやネット上でデザインなどの依頼を受ける、というのも未経験なりに積める実績のひとつです。
何をしてきたかよりも、何ができるか
たとえば「デザインの専門学校に通っていた」「イラスト関連の事務所で働いていた」というような経歴は、あるにこしたことはないものの、それだけでは何のアピールにもなりません。
要望に応えられるかどうかの裏付けがほしい依頼主としては、キャリアも参考にはしますが、それ以上に「私ならできます」という意欲とその根拠を信用します。
これがなければダメというルールがないいっぽう、これさえあればOKという確証もないのです。
イラストレーターに必要な資格
上記したように、必ず持っていないといけない資格というものはありません。
ただし、結果としての資格ではなく、取得をめざす過程で得た知識は武器になります。
漠然と勉強をするよりも、目標があったほうが意欲的に取り組めたり、他者との比較ができたりするため、技術向上の手段としては有効です。
イラストにまつわる基礎知識を蓄える
美術的な資格というと、色彩検定のような視覚全般にかかわるものが役立ちそうに思えますが、趣味としてならともかくビジネスとしてのイラストに対し、実践的でないこともしばしば。
現代のビジネスシーンを想定するなら、Photoshopクリエイター能力認定試験やIllustratorクリエイター能力認定試験のような、ツールを使いこなすことを目的とした資格のほうが必要性は高まっています。
思わぬ知識が役立つことも
一見、イラストとは関係のないように思えることでも、依頼によっては詳しいほうが有利ということも多々あります。
たとえば動物の絵、スポーツの絵、建築物の絵など、これらは学校で専門的に学んでいた人や前職で携わっていた人のほうが圧倒的に信頼を得やすいです。
そこまでいかなくとも、普段から幅広いことに興味をもち、可能であればそれについて詳しいことを証明できるエピソードをもつことで、思わぬチャンスを手にできる可能性が高まります。
イラストレーターに向いている人
これまで述べてきたように、ある程度の専門性も必要ではありますが、最終的には依頼主とのやりとりから自己管理に至るまで、オールラウンダーとしての素質が求められています。
とくにフリーランスで活動する場合には、ただ絵をかいていても何も始まりませんので、外へ外へとネットワークを広げていく努力は欠かせません。
絵がうまいことよりも、絵をかくことで他者に応えようとする姿勢を保つことのほうがはるかに重要です。
描きたいではなく、描かせてほしいと思うこと
絵をかくことが趣味や特技だから見てほしいという人には、もちろん素質はあるでしょう。
しかし実際のところ、SNSなどのウェブ媒体やレンタルスペースなどを使えば、いくらでも作品を発表できる時代です。
評価されたり人気がでたりといったことは、アマチュアでも叶えられないことではありません。
自由な表現活動ができるいっぽうで、あえて仕事として臨むことへの責任を果たせる人材こそ、真に求められる人物像といえます。
結局のところは人間力
誰しも一度くらいは、ふと目に飛び込んできたイラストに対して「この絵ってうまいわけじゃないけど個人的に好きだな」と思ったことがあるのではないでしょうか。
それはおそらく、作者が「うまい絵」ではなく「見たくなる絵」を描いたからです。
依頼主に加えて、そのイラストを目にするすべての人が何を求めているかを正確に把握し、それを表現できることこそがイラストレーターとしての価値。
他者を想定した行動をとることができればそれは大きな強みとなります。
イラストレーターとして働く上で気をつけること
一点のイラストを仕上げるまでにかかる時間は一定ではなく、完成までの間に何回も修正を依頼されれば、それだけ制作時間は膨大になっていきます。
しかし完成した作品に対する報酬には、どんなに時間や手間がかかっても換算されないため、実質サービス残業のような状況になることもしばしば。
また、営業はもちろんのこと、依頼の対象物について実物や参考書籍を見て研究する、その道のプロフェッショナルに話をきくといったフットワークは不可欠です。
収入のわりに、画材やデバイスなどの費用、交通費や勉強料などの自己負担額が大きくなってしまうこともありますので、別にアルバイトをする必要性もでてくることを念頭に置かなければなりません。
やりがいこそが最大の利益
イラストレーターとして大成している人はほんの一握りという厳しい世界ですが、だからこそ、やりがいをいくらでも見いだせる仕事でもあります。
定められたゴールはありませんので、常に自分を高めることができ、これほど向上心を刺激される職種はなかなかありません。
一枚の絵で世界が動く、世界が変わるという感覚は、何物にも代えられない財産になるでしょう。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitter で仕事を旅するキャリアジャーニーを
フォローしよう!