派遣法改正とは?6つのポイントを詳しく解説!!
- カテゴリ名:転職の基礎知識Q&A
派遣社員の雇用条件などを定めた労働者派遣法(派遣法)。この法律は派遣社員の待遇改善のためいくどとなく改正されており、いまはどうなっているのかわからない人が多いと思います。
そこで、今回は2015年に改正、変更された点を中心に解説していきたいと思います。
早速見ていきましょう!!
目次
派遣法改正とは?
派遣法とは「労働者派遣法」のことで、派遣労働者の賃金、福利厚生といった雇用条件について定めています。
派遣社員は仕事条件が自分に合ってる会社を選べ、万が一その会社が合わなかったとしても期限付きなので期限が切れたら簡単に辞めることができます。
ただし、正社員と比べて賃金が低い、福利厚生が充実していないなど待遇が良くなく、雇用も有期雇用ですので不安定と感じる方も多いです。
これまで派遣社員を守るために労働者派遣法の改正が行われてきましたが、2015年の派遣法改正が一番直近になります。
参考厚生労働省:2015年派遣法改正の概要
派遣法改正の流れとは?1986~2014年まで
1986年に施行された労働者派遣法。
労働者派遣法は1986年に施行され、以来数回法律が改正されています。
最初の大きな改正は1999年。
それまで専門性が高い13業種に限って派遣社員の登用が認められてましたが、1996年に26業務まで拡大され、最終的には原則どの業種でもOKとなりました。
続く改正は2004年。
このとき物の製造や福祉施設への派遣が可能となりました。
また、雇用期間も最長1年から3年へと改正されました。
また、紹介予定派遣(派遣社員が派遣先企業への有期雇用契約終了後、直接雇用契約を結ぶことを目的とした派遣契約のこと)の場合に限り、派遣社員への事前面接が可能となりました。(このことにより派遣法で事前に派遣先企業が派遣社員を特定するのを禁止していたが、一部解禁となった)
しかし、このとき派遣社員の劣悪な待遇が問題に。
そこで2006年、2012年と日雇い派遣の原則禁止、有期雇用である派遣社員の直接無期雇用の支援、派遣先社員と派遣社員の派遣労働者への福利厚生の見直しを入れて改正されました。
また、2012年には名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に名称変更し、派遣労働者の保護が明確化されました。
そして2015年、3年ぶりに労働者派遣法が改正されました。
派遣法の2015年改正の変更内容とは?
3年ぶりに改正された労働者派遣法の改正した主な点は以下の通りです。
- 専門26業務の区分の撤廃
- 派遣期間の改定
- 派遣先企業が派遣社員へのキャリアアップ措置を行う
- 雇用安定措置
- 一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を撤廃、厚生労働省の許可がどちらも必要に
- 労働契約申込みみなし制度
それではひとつひとつを詳しく見ていきましょう。
派遣法改正点①専門性が高い26業務の撤廃とは?
これまで、専門性が高い26業務(ソフトウェア開発、機械設計、放送機器等操作、通訳・翻訳・速記、秘書、広告デザインなど)は他の派遣できる職種と違い雇用期間に関係なく、何年も同じ職場で働くことができました。
しかし、2015年の改正によりこの区別はなくなり、こちらも原則3年が限度の雇用契約となりました。
派遣法改正点②派遣期間の改定、原則3年が限度に
いままで、原則1年、最長3年だった派遣期間を原則3年限度に改正しました。
同一派遣先で3年が経っても受け入れる場合は、派遣先の過半数労働組合等からの意見を聴く必要があります。(1回の意見聴取で延長できる期間は3年が限度)
また、同一派遣先で3年を超えて勤務する場合は3年間いた課とは別の課へ行く必要があります。
派遣法改正点③キャリアアップ措置とは?
派遣労働者はキャリアアップのために
- 段階的かつ体系的な教育訓練
- キャリア・コンサルティング
を受けることができます。
派遣法改正点④雇用安定措置とは?
同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある人は派遣契約終了後、派遣社員が希望すれば派遣先への直接雇用へ切り替えを依頼することができます。
上の依頼を受け、直接契約に至らなかった場合は、派遣先は新たな派遣先の提供、派遣元への無期雇用、他の雇用安定のための代替措置を取る必要があります。
派遣法改正点⑤一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を撤廃とは?
一般労働者派遣事業とは自分の会社で常時雇ってない、非正規雇用の人を派遣先に派遣する事業のことです。
臨時、日雇いもこれにあたります。
対して特定労働者派遣事業は、自分の会社に常時いる、正規雇用の人を派遣先に派遣する事業をいいます。
従来前者は厚生労働省による許可が、後者は届け出制でしたが、2015年の改正によりどちらも厚生労働省の許可が必要となりました。
派遣法改正点⑥労働契約申込みのみなし制度とは?
労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされます。(ただし、派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます。)
労働契約申し込みみなしになってしまう違法行為は以下の4つです。
- ①労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
- ②無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
- ③期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
- ④いわゆる偽装請負の場合
申し込んだとみなされる労働契約の条件は、違法行為が確認できた時点における派遣会社と派遣労働者との間の労働契約上の労働条件と同一の内容となります。
これは労働契約のみならず、口頭の合意(口頭でした口約束)や就業規則等に定めるものも含まれるとされています。
申し込んだとみなされる労働契約期間は、派遣会社と派遣労働者との間の労働契約に書かれた内容(始期、終期、期間すべて)がそのまま適用されます。
また、派遣労働者に必ずこの申込みみなしを受け入れる必要はなく、派遣労働者が申込みを拒否したときは、労働契約は成立しません。
派遣法改正により懸念される2018年問題とは?
労働者派遣法の改正により、専門26業務以外に設定されていた原則1年、最長3年の有期雇用契約が、26業務の廃止により26業務だったものも最長3年が雇用の限度となりました。
また、3年以上の雇用契約が見込まれる人に対して派遣先企業は雇用安定措置が義務化されるようになりました。
雇用安定措置の具体的なものは以下の通りです。
- 雇用契約終了後に派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提示・提供
- 派遣先企業への無期雇用の依頼(派遣社員としてではなく)
- キャリアアップ等の措置
以上のことから、3年経ってから同一派遣先企業で働くには、派遣先への直接雇用か派遣先への無期雇用が必要となってきます。
つまり、3年経つまでに派遣先企業がこれらの対策・措置に対応しない限り、3年後に契約終了となります。
法改正後のその最初の適用が2015年10月1日以前から同一派遣先企業で働いている人で、その契約期限が2018年9月末となっています。
このように2018年に雇用契約が終了して派遣社員側からの直接雇用、無期雇用の依頼が増え、選択を迫られることが多いことから、人件費増加を恐れ、失業することが増加するのではないかと考えられています。
これがいわゆる2018年問題です。
派遣法改正と勘違いしやすい5年ルールと2018年問題とは?
これは派遣法ではなく、改正雇用契約法に定められていることです。
2013年に改正雇用契約法が施行されたことにより、有期雇用契約が通算5年を超える有期契約労働者は同一企業に対して無期雇用契約を申請できるというものです。
こちらは派遣社員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートの方も含まれます。
無期契約転換申請を受けた企業はそれを拒否することができません。
この最初の適用が2013年4月1日以前から働いている人で、その契約期限が2018年3月末となっています。
無期転換ができる条件は以下の通りです。
- 同一企業との契約
- 有期労働契約が通算5年以上
- 契約更新が1回以上
このようにこちらも無期転換は神聖されると拒否できないため、5年経つ前に契約を切られる人が出てきて失業者が増加すると懸念されています。
派遣法改正まとめ
数回の派遣法改正により、派遣社員の保護が明確になり、実際に昔と比べ派遣社員の待遇もよくなりつつあります。
法律ではしっかり定められいるのにそれを知っているのと知らないではだいぶ違ってきます。
もしかしたら損をしているかもしれないし、得をしていたとしても実感が湧きにくいものです。
派遣法をしっかり理解してあなたの生活に役立てましょう。
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