「何卒」とは?その意味とビジネスシーンで正しく使う読み方と使い方

「何卒」とは?その意味とビジネスシーンで正しく使う読み方と使い方

仕事の場面でのお客様とのやりとりや他社との場面で、「何卒よろしくお願いいたします」「何卒ご了承の程よろしくお願いいたします」など、ビジネスの場で意外に使うことが多い「何卒」という言葉。
正しく使えていますでしょうか?今日は、「何卒」について、しっかり確認してみましょう。

「何卒」の読み方大丈夫だよね?

ところで、「何卒」の読み方は分かりますでしょうか?
「何卒」は「なにとぞ」と読みます。

多いまちがいが「なにそつ」と読んでしまうことです。
女優である山田優さんが2012年の結婚会見の時に、海外での撮影のため小栗さんから預かった手紙の文末を読まれたときのことです。

終わりの方で「なにそつ、お手柔らかにお願い申し上げます」と読んでしまった場面を放映され、ツイッターでどう考えても、「なにとぞ」にしか読めないだろうと、ツッコミされていました。……からなのかどうかはわかりませんが、意外に多い読み間違いなんだそうです。

山田優さんは、読み間違えをテヘ!と修正して可愛いいと言われましたが、ビジネスの場面では、教養がなさすぎると言われますので、くれぐれも間違えないようにしましょう。

「何卒」の意味とは?

「何卒」には「どうか」や「どうぞ」と同じ意味を持つ言葉です。言い換えると、「相手に対して強く願う気持ちを表す言葉」ということになります。
同義語には「どうぞ」がありますね!会社に入ってすぐだと「どうかよろしくお願いいたします。」など、よく使われる言葉でもあります。

「何卒」は、「どうか」や「どうぞ」よりも改まった表現なので、少し堅い印象になります。使い方としては、このお願いは絶対にしてほしいという場面で使用されます。

例えば、時代劇で偉い方に「なにとぞ!なにとぞ!」と平伏してお願いしている場面を見たことはありませんか?

時代劇での使い方を見ても、何卒とは「どうか」や「どうぞ」と同じ意味ということがお分かりいただけたかと思いますね。

現代では「何卒」と単体で使うことはほぼありませんが、必ず「何卒、よろしくお願い致します。」などというような使い回しをすることが多いでしょう。

なお、「何卒」という言葉は、室町期にはすでに使われていた「どうにか」という意味の副詞「何とか」(なんとか)に、そのような疑問語を受けて強調する不定の助詞「ぞ」が付いた「何とかぞ」が本来の形です。それが訛って江戸時代のころ、現在の形になったと言われています。

「何卒」という漢字はどちらも訓読みのため、漢字自体の意味を合わせて考えるのは無理がありますので、日本語の「なにとぞ」の意味で説明していきます。

「なにとぞ」とは、
「なに」が代名詞(以前の内容や名詞などを表す)
「と」は格助詞(主語などに付けて意味を助ける格となる役割)
「ぞ」は係助詞(意味を強調する役割)
引用元の記載:コトバンク(https://kotobank.jp/word/%E4%BD%95%E5%8D%92-589291)

と辞書には書かれています。
代名詞「なに」+格助詞「と」+係助詞「ぞ」から、「なに」はお願いする事柄で、「と」はその事柄のことの話だと表されており、「ぞ」はその事柄の話を強調していますので、「お願いする事柄についてどうか」という意味になります。

「何卒」は当て字でありますので、漢字熟語を多用する硬い手紙などで「なにとぞ」と仮名書きにしても問題ないでしょう。文面をソフトにしたいときや奥ゆかしい雰囲気を出したいときには、むしろ仮名表記が向いています。

「何卒」を使うシーン

一般的には相手に対してお願いがあるときに使いますが、ビジネスの場では文末に使うことでしっくりくる便利な言葉として使われています。
「ご多忙のところ恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします。」

この他には「この度は誠に感謝しております。今後とも何卒お付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。」などのように使います。何卒よろしくお願いいたしますという言い回しは、非常に便利で、挨拶言葉として使われることがほとんどです。

相手に良くしてもらいたいという「よろしくお願いいたします。」を丁寧に表した言葉が「何卒よろしくお願いいたします。」になるわけですから、多様な場面で使える便利なことばです。

その他に、相手の健康を願うような形式的な挨拶の言葉の中でも頻繁に使用されます。手紙や電子メールなどで、上司や年上の同僚の健康を祈る挨拶として用いられることも多く、「何とぞご自愛専一になさってください」のように表現します。
また企画やプレゼン資料を書面やメールで送る最後の文末にも、「何とぞよろしくご検討のほどお願い申し上げます。」などと使います。

「何卒」を使った例文とその意味

依頼やお願いなどで便利に使われる「何卒」ですが、具体的に使われる文例で見ていきましょう。

何卒よろしくお願いいたします

「いたす」は「する」の謙譲語で、依頼したいことをより丁寧な言い方にした表現です。
・何卒よろしくご検討のほどお願い申し上げます。
・何卒ご回答くださいますようよろしくお願い申し上げます。

何卒よろしくお願い申し上げます。

「申す」は「言う」の謙譲語で「お願いします」をより丁寧な言い方にした表現方法です。「お願い申し上げます」は「言うことすらはばかれる」意味合いが強くなりますので、こちらの不手際があった場合のお願いや謝罪したい場面で使われます。

・お忙しい中、ご面倒なお願いをして誠に申し訳ありませんが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
・今後とも末永くお付き合いくださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

何卒ご了承~

「聞き入れてもらう」または「認めてもらう」ときに使用される敬語です。

・誠に勝手ながら来る1月1日から1月5日までを年末年始のお休みとさせていただきますので、何とぞご了承ください。
・何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
「ご了承ください」は、まだ始まっていないことや、これから始める段階のことに対して許してもらう言い方です。

つまり、「ご了承ください」という言葉は、強制的という意味が含まれています。そのため、相手に一方的な了承を強要するような言い方になってしまうことが多いので、ビジネス上では、「ご了承願います」や「ご了承のほどお願い申し上げます」など、丁寧な言葉を付け足して使用されると良いでしょう。

・12月29日から1月5日まで、年末年始休業とさせていただきます。ご迷惑をおかけすることと存じますが、何とぞご了承くださいますようお願い申し上げます。
・なお、弊社の仕事始めは1月5日からとなります。なにとぞご了承くださいますようお願い申し上げます。
・2週間のご猶予をいただけませんでしょうか。ご無理を申し上げますが、なにとぞ事情をおくみ取りいただきご了承くださいますようお願い申し上げます
・貴社におかれましても、いろいろなご事情がおありと存じますが、何とぞご了承いただきたくお願い申し上げます。

何卒ご理解~

「何卒ご理解いただけますように」という表現は、すでに始まっていることに対して、説明し、許してもらうときに使用します。そのため、起こってしまったことに対して、相手にわかって欲しい、悪意はないことを理解して欲しい、などの意味で使われる言葉になります。

例えば、セミナー中に携帯のブザー音がなっている方に対して、
・「セミナー中には携帯の電源をお切りいただけますよう、何卒ご理解いただけますようによろしくお願いします」というように、承認を乞う場合に、この言葉を用いられることが多です。

分かっていただきたいという気持ちを丁寧に伝わって欲しいという意味もありますので、
「何卒ご理解いただきますようお願い致します」よりも、「何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。」の方が丁寧に感じますし、
「何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。」の方がさらに丁寧な言い回しへとご理解の後に続く言い回しを使い分けることが大切と言えます。

・何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
・何卒ご容赦のほどご理解お願い致します。
・明日のセミナーには何卒ご参加いただけるようご理解くださいませ。
・ご自愛専一になさいますよう何卒ご理解くださいませ。

「何卒ご理解お願いいたします」などの言語表現は、仕事の場でも多用されます。さまざまな場所における伝達に使用され、特に接客などの場は、言葉遣いとともにホスピタリティが大事な場面でもあります。表情と声の大きさに気をつけて、心を込めて話せれば、相手にとってとても好印象な言葉遣いになります。

何卒ご容赦~

「何卒ご容赦ください」とはこちらに何か不手際があった場合などに、相手に謝罪の意を込めて使われる言葉です。つまり、起こったことに対して、「大目に見てもらう」や「過ちを許してもらう」などの意味があります。

・この度は○○がまた大変なご迷惑をお掛けし、お詫びの言葉もございません。本人も今回はさすがに深く反省致しておりますので、何卒ご容赦下さいますようお願い申し上げます。
もしくは、
・本人には厳重に注意いたしますので、なにとぞご容赦のほどお願い申し上げます。

こちら側の事情を暗に酌んで欲しい時にも、使用されます。
・弊社の苦しい経営事情をお酌み取りいただき、なにとぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。

振り込まれていないなどの督促状や催促状にもよく見る文面です。
・本状と行き違いにご発送いただきました節は、何とぞご容赦ください
・追伸 なお、本状と行き違いですでにお手配済みの節は、失礼のほどご容赦ください
・本状と行き違いの場合は、悪しからずご容赦願います。
・行き違いでご入金いただいた場合は、なにとぞご容赦ください。

「何卒」を英語にするなら?例文まとめ

英語でも、気持ち的に、丁寧なお願いをした時があります。
「何卒」を英語にするなら、結びの言葉として、”Regards”、”Kind regards” が多く使われています。その下に自分の名前を入れましょう。日本語の「何卒宜しくお願いします」といったニュアンスになります。

その他よく使われる定型文としては、
・今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
 I hope to continue to receive your kind cooperation.

・何卒よろしくお願いいたします。
 I appreciate your kind cooperation.
 Thank you.
 Best regards.(文書の最後に書く)

・ご了承の程、何卒宜しくお願い致します。
 I appreciate your understanding.

・何卒、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 I hope you will understand.

・何卒ご容赦ください
 Please forgive me.

相手との距離を大切に「何卒」を使い分けよう

何卒という言葉1つに取ってもすごく深い意味があり、様々な場面での使い方があります。正しい意味を理解して正しく日本語を使えるようになるには、相手との距離感などを考慮しながら使っていくようにすることが大事ですよ。

 

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