派遣社員の社会保険はどうなるの?派遣社員が抱く社会保険の疑問を徹底解説
- カテゴリ名:今日からの転職活動
派遣社員の社会保険については、「派遣は加入できない」といった噂や誤解が多くあります。
契約期間が決まっている派遣ならではの疑問や不安もありますよね。
要件を満たせば派遣社員も社会保険に加入できますから、制度をしっかり理解しておきましょう。
ここでは、派遣社員と社会保険の基礎知識を解説します。
派遣社員と社会保険の概要
派遣社員は、直接雇用である正社員やアルバイトとはなにかと違いがあることから、社会保険についても特殊な取り扱いがあると思われがちです。
しかし、根本的には同じなので、「派遣だから違って当たり前」と思わず、共通点や注意点を理解しておきましょう。
ここでは、派遣社員と社会保険の概要を解説します。
そもそも社会保険とは?
派遣社員と社会保険の関係を知る前に、そもそも社会保険とは何かを整理しておきましょう。社会保険は、大きくわけて「年金医療保険」と「労働保険」があります。内訳と概要は下記の通りです。
「年金医療保険」
厚生年金 老齢や障害などの年金支給
健康保険 病気やケガによる医療費を中心とした給付
介護保険 40歳以上が加入し、介護が必要な高齢者の介護費用等を負担
「労働保険」
雇用保険 失業手当をはじめとするさまざまな給付金
労災保険 業務上や通勤災害などに対する補償
広義の意味ではこれら5つの保険をあわせて社会保険と呼ぶことがありますが、一般的には「年金、医療保険」である3つの保険を社会保険と呼ぶケースが多いです。
ここでも、「厚生年金」「健康保険」「介護保険」の3つを社会保険と定義づけ、主に解説していきます。
派遣も社会保険に加入できる
「派遣社員は社会保険に加入できない。」という噂を聞き、その雇用形態の特殊性から仕方がないと思っていませんか?
実は社会保険は、雇用形態によって加入の有無を定めてはいません。
正社員はもちろん、アルバイトも契約社員も派遣社員も、条件を満たせば加入できます。
条件については後述しますが、派遣社員でも社会保険に加入できるという点を、ぜひ誤解のないよう覚えておきましょう。
契約と契約の切れ目はどうなる?
派遣として働くと、今の契約と次の契約との間に空白の期間が発生するケースがあります。
今の契約内容で社会保険に加入していると、一旦社会保険から外れて、次の契約時にまた入り直す必要があるのか疑問に思いますよね。
このケースの場合、契約と契約の間が1ヶ月を超えず、次も同じ派遣会社の紹介で働くことが見込まれるなら、引き続き継続して加入できることが多くなります。
詳細の条件については派遣会社によって取り扱いが異なりますので、しっかりと確認しておきましょう。
派遣の社会保険料負担について
社会保険料の負担については、派遣だから正社員より負担が多いといったことはありません。
負担割合や料率については、それぞれの保険ごとに、事業主と従業員にかかる負担が下記のように決まっています。
派遣社員の事業主は派遣会社ですから、事業主分は派遣会社が負担することに。
従業員負担分については、給与明細を見るといくら引かれているかが確認できます。
厚生年金・健康保険・介護保険 事業主と従業員が折半
雇用保険 事業主負担6/1000、従業員負担3/1000※一般の事業、平成29年度の場合
労災保険 全額事業主負担
参照:厚労省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
派遣社員が社会保険に入る要件
派遣社員の中でも、社会保険に入れる人と入れない人がいます。
どんな働き方の派遣かによって異なりますから、加入要件を確認しておきましょう。
ここでは、ケースごとに派遣社員の加入要件を紹介します。
派遣元の労働日数と時間が基準
社会保険に加入できるかどうかは、正社員と呼ばれる人たちの労働日数と労働時間を基準にして考えられます。
基準となる正社員は派遣元である派遣会社の社員で、具体的には下記のいずれも満たすことが条件です。
・1週間の所定労働時間が正社員の3/4以上
・1ヶ月の所定労働日数が正社員の3/4以上
・2ヶ月を超えた契約であること
パート派遣の場合
フルタイムで働く派遣社員の場合は加入するケースがほとんどですが、「パート派遣」と呼ばれる、労働日数や労働時間が短い派遣社員の場合はどうなるのでしょうか。
一般社員の所定労働時間および所定労働日数が3/4未満であっても、下記の要件を全て満たす場合は加入することになります。
・週の所定労働時間が20時間以上ある
・雇用期間が1年以上見込まれる
・賃金の月額が8.8万円以上である
・学生でないこと
・常時501人以上の企業に勤めていること(所属する派遣会社ごとに判断)※平成29年度からは500人以下でも労使合意があれば加入可能
短期契約の派遣の場合
では、短期派遣の場合はどうでしょうか。
社会保険に入れない人の要件の1つに、「2か月以内の期間を定めて使用される人。所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる。」という決まりがあります。
つまり、短期派遣の中でも、契約期間が2ヶ月以内で、更新されないことが明らかな場合は、社会保険には加入できないということです。
契約更新によって2ヶ月を超えることになったら、労働時間と労働日数要件をクリアしていれば、その時点から加入できるようになります。
参照:日本年金機構HP
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20150518.html
労働保険の要件も確認
労働保険である「雇用保険」と「労災保険」についても、加入要件を確認しておきましょう。
雇用保険については下記が要件になっており、社会保険に比べて入りやすくなっています。
たとえば、2ヶ月限定で週40時間の派遣契約の場合は社会保険は加入できませんが、雇用保険には加入できることになります。
・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者である
・1週間の所定労働時間が20時間以上である
労災保険については、契約期間や時間関係なく、すべての従業員が対象になります。
労災保険は、保険適用や保険料負担は派遣元でおこないますが、危険防止措置は派遣先にあるなど、派遣元、派遣先の双方が関わることになり複雑です。
労災事故が起きた場合は、派遣元、派遣先どちらにも報告すると覚えておきましょう。
参照:厚労省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
社会保険に加入したくない場合は?
社会保険や労働保険については、要件を満たしているのに入らないという選択肢はありません。
加入したくない場合、要件を満たさないように労働時間と日数を調整しましょう。
派遣会社の所定労働時間や日数によって変わってきますから、加入しなくていい働き方を派遣会社に相談し契約を結ぶのが賢明です。
労働時間と日数を抑えず社会保険にも加入したくないなら、2ヶ月以内の短期契約を結び、一旦契約を終了させるという方法もあります。
ただし、有給休暇の継続勤務要件を満たさなくなるため、必ずしもいい方法とは言えません。
社会保険は「将来年金がもらえるかわからない」といった理由から加入したくない人もいますが、年金は老後だけでなく、今障害になったときや、死亡時の遺族年金もある制度です。
健康保険についても、傷病手当金などの所得補償があり、自分で加入する国民健康保険にはない制度です。
将来だけでなく、現在の自分や家族を守る制度であるという点も踏まえ、働き方を考えるようにしましょう。
派遣契約満了後の社会保険
派遣契約満了後の社会保険については、下記のいずれかのパターンになります。
契約満了後早急に手続きできるよう、事前にどの保険に入るか考えておきましょう。
・国民健康保険、国民年金への切り替え手続きをする
・家族の扶養に入る
・派遣元の任意継続保険に加入する※任意継続保険は健康保険のみの制度です。
派遣の社会保険は制度理解が重要
派遣社員の社会保険は、要件を満たしていれば加入できます。
派遣だから他の働き方に比べて不利になるわけではないと分かれば安心できますね。
制度の仕組みを理解しておけば、派遣社員としてだけでなく、契約満了後や正社員など別の働き方をする場合にも役立ちますので、ぜひ覚えておくようにしましょう。
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