え?健康診断も福利厚生のひとつなの?
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企業が労働者やその家族の生活を豊かにするために、給与や賃金にプラスして支給する非金銭報酬である福利厚生。
自身の業務や生活をより良いものにすることも出来るこの福利厚生は、就職したい企業を探す際に注目する人も多いことだと思います。
しかし、そんな福利厚生の中でもサービスを受けることが当たり前になり、福利厚生という分野から忘れられてしまいがちなのが「健康診断」ではないでしょうか。
今回は、実は福利厚生のひとつである健康診断についてご説明していきます。
目次
会社で必ず受ける事になる「健康診断」は福利厚生のひとつ!
企業に入社をした際に必ず受診することになる「健康診断」ですが、これは企業が労働者に対して行う福利厚生のひとつです。
健康診断は労働安全衛生法にて、健康診断の実施が義務付けられています。
また、健康診断の実施は企業の規模や労働者の数で決まるのではく、人を雇った段階で健康診断の受診義務が発生するのです。
健康診断は全員が受けなければならないの?
企業側にとっては実施が義務付けられている健康診断。
しかし、労働者にとっては業務時間を割いて受診せねばならず、時間もかかり体力も消耗する健康診断はなかなか手間に感じることもあるかと思います。
受診しなくても良いならば受診したくない健康診断ですが、必ず全労働者が受診しなければならないのでしょうか。
受診対象者は決められています
実は、健康診断には受診対象者が定められています。
まず受診しなければならないのは、常時使用する労働者であり正社員は全員が健康診断を受ける必要があります。
また、正社員以外の雇用形態の労働者の場合は下記条件を満たした場合に健康診断を受診する必要があるのです。
まず一つ目の条件が、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である場合です。
もう一つの条件が、雇用期間の定めが無い場合、もしくは雇用期間の定めが1年以上の場合です。
この2つの条件を満たした場合、正社員でなくとも「常時使用する労働者」となりますので、健康診断の受診が義務となるのです。
ちなみに、上記2つの条件を満たした場合は健康診断の受診が義務となりますが、条件を満たしていない場合は「健康診断を実施することが望ましい」と定められているため、企業が健康診断の受診を行っていない場合も罰則などはありません。
健康診断を受けたくない!そんな時は?
健康診断を受診しなければならない、と言われてもさまざまな事情から健康診断を受診したくないという人も居るかと思いますが、健康診断の受診は労働者にとっても義務となっていますので必ず受診が必要となります。
しかし、企業側で指定した医療機関で健康診断の受診を行いたくない場合、自身の都合のつく医療機関で受診を行いたいと思った場合は、希望する医療機関での健康診断の受診が可能となっています。
企業側で指定された医療機関以外で健康診断の受診を行う際には、担当者にその旨をしっかりと伝え健康診断の受診後にはしっかりとその結果を書面として企業側に提出してください。
健康診断を行う時期は決まっているの?
これまで健康診断の必要性や受診者についてご説明してきましたが、一体いつ健康診断の受診を行えば良いのでしょうか。
他の企業で働いている人の話を聞いていると、意外と健康診断の時期はバラバラに感じることがありませんか。
ここからは健康診断を行う時期についてご説明していきます。
まずは入社時に実施を
まず、健康診断を受ける必要があるのは企業に入社をする直前、もしくは入社直後となります。
これは、雇入時健康診断と呼ばれており、前述の「常時使用する労働者」に含まれる場合に受診が必要となります。
しかし、企業に入社する3ヶ月以内に健康診断を受診している場合は、その結果を証明する書類を企業へ提出すれば入社時の健康診断は受診の必要がありません。
必ず1年以内に1回実施を
次に健康診断の受診が必要になるのは定期健康診断です。
こちらは常時使用する労働者に対して1年以内に1回、健康診断を定期的に実施するというものです。
企業によって具体的な時期や受診期間は異なりますが、傾向として5、6月や9、10月に実施を行う企業が多いようです。
特定の労働者へは定期的に実施を
雇入時健康診断や定期健康診断はよく耳にし、実際に受診したことがある人も多いかと思いますが、健康診断を受診する条件はそれだけではありません。
深夜業務に携わる労働者や、有害な環境で勤務をする労働者に対しては配置換えの際や6ヶ月以内ごとに1回、医師による健康診断を行わなければなりません。
海外派遣時には実施を
また、従業員を6ヶ月以上海外へ派遣する場合には従業員を国内に戻す際に健康診断の受診が必要となります。
この場合に受診が必要になる項目は定期健康診断の項目のみでなく、腹部画像検査や尿酸値の検査、ウイルス抗体検査など特別な検査が必要になります。
健康診断を受ける上で覚えておきたいポイントは?
健康診断の実施時期についてわかりましたね。
では、実際に健康診断を受診する際にはどんなポイントを押えておけば良いのでしょうか。
覚えておきたいポイントをご紹介していきます。
費用は全額企業側で負担!
健康診断の受診は前述のとおり法律によって定められています。
そのため、健康診断に伴う費用は全額企業側にて負担することになっています。
しかし、「常時使用する労働者」に含まれていない場合には健康診断は義務ではありませんので、受診に際して費用が個人負担となる場合もありますので企業側へ確認が必要です。
また、法律での義務は無くとも就労規則等で「費用を負担して健康診断を受診する」旨が記されている場合もありますので、その際には費用の負担が必要となります。
診断結果は報告と保管の義務がある!
健康診断を受診したのち、検査結果は企業にて保管する義務があります。
この際、企業は健康診断個人票を作成し5年間保管を行わなければなりません。
また、検査の結果異常が認められた労働者に対しては結果を報告し、医師の意見を受ける必要があります。
さらに、報告は労働者だけに対してのみではなく、常時50人以上の労働者を使用している企業は、労働基準監督署へ健康診断結果を報告する義務も発生します。
健康診断を実施しなかったら罰金が!
これまで何度もご説明してきましたが、健康診断には受診義務があります。
企業側が労働者に対して健康診断受診の義務を果たしていないとみなされた場合、当然法律違反となり企業側は50万円以下の罰金刑に処されますので企業側は注意が必要です。
また、労働基準監督署への健康診断実施報告書の人数と実際に受診すべき人数が合わない場合には、労働基準監督署からの勧告や指導が入る可能性もありますので、企業側は健康診断実施における規定をしっかりと把握しておくことが大切です。
健康診断の結果「再検査」に!
さて、ここまで健康診断に関するさまざまな点をご説明してきましたが、健康診断を受けた後に労働者が気になる点といえば「再検査の有無」ではないでしょうか。
自身の体に異常が見つかった時、もう一度検査を受ける事になると思いますが、再検査は義務なのでしょうか。
再検査について詳しく見てみましょう。
要注意!再検査は自己負担
企業側は従業員に健康診断を受けさせる義務があります。
しかし、この義務として労働安全衛生法で定められているのは「年1回の健康診断の実施」と「結果の通知」までとなっています。
従って、企業にとって再検査を受診させなければならないという義務は無いのです。
再検査の場合企業は検査を受けさせる強制力もなければ、費用を払う必要もありません。
そのため、再検査になった場合は費用は全額自己負担となり、再検査のための時間も有給等の自己負担が必要になってしまいます。
再検査を受診する際には、しっかりとその事を把握しておくことが大切です。
健康診断は義務!しっかり覚えて受診しよう
いかがでしたか。
受診できることが当然となっている健康診断ではありますが、実は企業が提供してくれる福利厚生のひとつなのです。
1年に1回、自身の健康状態を確認でき、自身の負担もない便利なサービスとなっていますので、規定やポイントをしっかりと押え有効に活用していきましょう。
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