未経験から目指す理学療法士への転職
- カテゴリ名:転職の基礎知識Q&A
- 投稿日:
国家資格である理学療法士。理学療法士とはどんな仕事をなのでしょうか。
また、未経験から転職するにはどんな道のりがあるのでしょうか。
理学療法士への転職を考える方へ向けてさまざまな角度から理学療法士への道を探っていきたいと思います。
目次
理学療法士とは?
まず、理学療法士には国家資格があり、この資格を取得している人でなければ理学療法士と名乗ることはできません。
Physical Therapist(PT)とも呼ばれており、主に寝返る、座る、立ち上がる、歩くなどの日常生活で必要な基本的な動作ができるように身体の基本的な機能の回復や維持、悪化の予防を運動療法や物理療法を用いてサポートし、自立した日常生活が送れるようにバックアップするリハビリテーションの専門家です。
作業療法士との違い
同じくリハビリテーションに携わる国家資格として作業療法士がありますが、作業療法士は日常生活に関わる細かな動作の回復を専門とし、手工芸やレクリエーションなどの作業療法を用いて身体のリハビリテーションをするのに加えて、うつ病や摂食障害などの精神的な障害の患者さんも対象としているため心理的な面からもリハビリテーションを行っていきます。
動作的なリハビリテーションの場合、理学療法士は寝返る、座る、立ち上がる、歩くといった基本動作が行えるように筋力訓練や動作訓練を繰り返し行っていきます。
また必要であれば杖や装具などを用いた物理的なリハビリテーションも行っていきます。
一方で作業療法士は座って着替えてみる、立ち上がってトイレに行ってみるなどの日常生活での応用動作のリハビリテーションを行います。
リハビリテーションそのものに興味があり、方法やあり方を追求し専門性を深めていきたいと考えている人には理学療法士が向いているようです。
一方でリハビリテーションに日常活動や趣味活動を取り入れ精神的な面からもケアしていきたいと考えている人には作業療法士が向いているようです。
現在、理学療法士の資格取得者数は約11万人、作業療法士の資格取得者数は約7万人でこれから先もこの差は拡がっていく傾向にあるようです。
理学療法士の仕事内容
理学療法士はリハビリテーションを通して、病気や事故などで身体の障害や不自由さを抱えている人や高齢で身体機能が衰えている人の身体機能の回復を援助するということが主な仕事となります。
理学療法士の就職先
まずは養成学校を卒業しその後就職へと進んでいくことになりますが、理学療法士で最も多い就職先は病院です。
その他には、身体障害者施設、児童福祉施設。
回復よりも体力・能力の維持がリハビリテーションの目的となる介護老人施設。
パーソナルトレーナーなどスポーツフィットネス施設。
地域の保健センターで健康セミナーや訪問治療。
福祉機器の販売、製造過程での助言など企業での活躍の場もたくさんあるようです。
このように現在では理学療法士の就職は多岐にわたっており、就職活動の際には養成学校に届いている求人の中から探すことが多いそうなので、学校選びの段階から希望する就職先との繋がりなども把握しておくとよさそうです。
病院での仕事内容
病院といっても、大学病院や総合病院や個人病院など様々な就職先があり、仕事内容も色々あります。
怪我をした人や脳卒中になった人の機能回復のためのリハビリテーション、高齢の患者さんやがん患者への体力維持訓練、生活習慣病の人への運動療法の指導、看護師や施設職員への介護指導、スポーツ選手の怪我予防や治療などがあります。
運動療法と物理療法
理学療法士が行うリハビリテーションには二種類のアプローチがあります。
歩行訓練など実際に身体を動かすことにより、関節の動きをスムーズにしたり筋力をつけて動作の回復を促す運動療法。
そして専用の器具を用いて引っ張ったり、電気による刺激を与えたり、超音波やマイクロ波、赤外線で患部を温めたり、マッサージを行ったりという薬は用いずに物理的な手段によって治療を行う物理療法です。
理学療法士で身につくスキル
理学療法士になると資格で身につけた知識以外にはどんなスキルが身につくのでしょうか。
コミュニケーションスキル
理学療法士は仕事を通じてたくさんの人と出会うことができます。
患者さんはもちろんのこと、患者さんの家族や、同じ職場で働く他の専門職スタッフとの関わりもあります。患者さんにとってリハビリテーションは精神的にも体力的にもつらいため明るく前向きに接することが必要になります。
たくさんの人と接することでコミュニケーション能力が自然に磨かれていくでしょう。
そして幅広い年代の人に出会うことでおのずと視野も広がっていくことでしょう。
根気と洞察力
たくさんの患者さんを相手にしなければいけない職業なので、相手の気持ちや立場など様々な面から理解し、そして常に気配りをしなくてはなりません。
そして効果が出るまでに長い時間のかかるリハビリテーションでは根気も養われていくでしょう。
理学療法士は未経験でもなれる?
理学療法士には養成学校で3年以上学び、国家資格を取得することができれば誰でも目指すことのできる職業です。
そして転職を考えている方には社会経験があるため、資格は持っているが社会経験がない人に比べると社会人としての基本的なマナーを持っていることから就職活動がとても有利になると思われます。
理学療法士のこれから
高齢化社会が進んでいる現代社会において、医療機関や福祉施設などから必要とされる職業ですが近年、急速に資格を取得する人が増えてきているようです。
そのため、以前と比べると若干求人が低下している傾向にあるようですが、ある程度安定した需要がありそして知識を広げていくことで様々な分野で活躍することができるため、これから勉強をスタートし理学療法士を目指しているという方にもたくさんの受け皿はありそうです。
転職のリスク
未経験からでも目指すことができ、需要があるので就職先も比較的見つけやすいということがわかってきましたが、ここで転職のリスクについてもチェックしておきましょう。
まず、資格取得までに学校へ通う必要があるためすぐに転職することはできません。
働きながら夜間の学校へ通う方も多くいるようですが、体力的、時間的に大きな負担がかかることでしょう。
また転職後の収入面では、需要も多いですが供給も多いので平均よりもやや低くなるところが多いようです。
経験が必要な仕事なのですぐに好条件の就職先を見つけることは難しそうです。
これらのリスクを踏まえた上で理学療法士を目指していかなければなりません。
理学療法士に必要な資格
理学療法士になるためには国家資格の取得が必須となります。
そしてその試験を受験するためには、理学療法士の養成課程のある大学あるいは短大、専門学校で3年以上しっかりと学習し、卒業しなくてはなりません。
試験について
理学療法士国家試験は年に一度、毎年2月末に行われているようです。
試験は筆記のみなのですが、これはすでに学校で実務に必要な臨床実習を行っているからだそうです。
合格率は80%以上と比較的高いようですが、試験内容が簡単だというわけではなく、受験する人の多くが合格レベルまでしっかりと学習をしてから試験に臨んでいるためこのような高い合格率になっているようです。
養成学校選び
資格の取得に絶対必要な養成学校について見てみましょう。
大学、短大、専門学校と理学療法士の養成学校は全国にたくさんあるようです。
そしてそれぞれ受験の難易度や設備、実習の環境などが違うため、実際に足を運んでいくつかの学校を見学し自分の目でよく見て志望校を選んだほうがよさそうです。
また、現在の仕事をしながら学校に通うとなると気になるのが夜間や通信で資格が取得できるのかということですが、通信教育のみで資格を取るということはできないようです。
夜間学校は少し大変にはなりますが働きながら通い、資格を取得することができるようです。
ただし、施設実習や臨床実習は基本的に昼間に行われるようなのでその時にはスケジュールの調整が必要になります。
理学療法士が向いている人
理学療法士を目指す上で、どんな人が向いているといえるのでしょうか。
人と接することが好きな人
理学療法士として最も大切なことは人が好きであるということです。
毎日さまざまな患者さんと接するのはもちろんのこと、患者さんの家族や他のスタッフなど人と接していることがほとんどな仕事です。
ただリハビリテーションを行えばいいというわけではなく、患者さんとの心のふれあいがとても大切といえます。
その人のために少しでもよくしてあげたいと思えて、患者さんの少しでもよくなりたいという気持ちを引き出すことができる人が理学療法士としては適任のようです。
明るく接することで患者さんを前向きにすることができます。
患者さんからの信頼を得ることができれば治療も行いやすくなるでしょう。
逆に患者さんや家族の気持ちに配慮できていないとクレームが出てしまうこともありそうですね。
体を動かすことが好きな人
リハビリテーションを行うためには体を使わなければなりません。
そして男女問わず患者さんの介助をするためにそれなりの体力や筋力が必要になりますので、机に向かって黙々と仕事をするというよりも人とコミュニケーションを取りながら動いている方が楽しいと思える人が向いているといえそうです。
細かいことに粘り強く向き合える人
リハビリテーションはなかなか効果が出ないこともあるので、諦めずに責任を持って努力していかなければなりません。
そして通常であれば気のせいだと流されてしまうような小さな動きや症状が大切なシグナルとなっていることも多いため、普段の会話やリハビリ中の細かな一つ一つの動きに注意を払うことで変化や異常にすぐに気がつくことができるようになります。
飽きっぽく大雑把な人よりも、集中力があり、細かいことによく気がつくことができる人が向いているようです。
理学療法士で働く上で気をつけること
理学療法士として働くために前もって気をつけておきたいところはあるのでしょうか。
すぐに一人前にはなれない
養成学校を卒業し、試験に合格したからといってすぐに一人で患者さんをみれるようになるわけではありません。
知識に加えて経験が必要な職業なので短期間で一人前になることは難しいと思われます。
ただし、前にも述べたように別の仕事であれ、社会人としての経験があることは大きな強みとなるので転職して割とすぐに頭角を表すことができる人もいるようです。
一人前になるまで時間がかかるということは給与の面でもそれなりに苦労することがあるかもしれません。
まとめ
理学療法士とは患者さんの生活を自分の知識と経験でよりよくすることのできる職業です。
体力的、精神的、金銭的なさまざまな面から簡単に転職とはいかず、長く険しい道のりになりそうですが苦労も多い分とてもやりがいのある仕事であると思います。
モチベーションを維持していけるようしっかり考えて目指したいですね。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitter で仕事を旅するキャリアジャーニーを
フォローしよう!