詳しくは知らない福利厚生のひとつ、社会保険について
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求人票や企業ホームページを見ていく中で、よく「社会保険完備」という言葉を目にすることだと思います。
何となく、漠然と「保険関係が充実しているんだろう」ということは分かっていても、具体的にどのような保険を指しているのか、そもそも社会保険とは何なのか、意外と知ることが無いまま企業に就職し、働いている人も居るのではないでしょうか。
今回は、そんな社会保険についての意味や知っておくべきポイントについてご説明していきます。
目次
よく耳にする「社会保険」は法定福利厚生のひとつ
そもそも福利厚生とは企業が従業員に対して給与や賃金にプラスして支給を行う非金銭報酬のことを指しますが、この福利厚生には大きく分けて2つの種類が存在することをご存知ですか。
法律によって定められている法定福利厚生と、法律による定めのない企業や法人が独自に行う法定外福利厚生の2つです。
社会保険とは、このうち加入が法律によって義務付けられている法定福利厚生に含まれます。
社会保険って具体的にどんなものがあるの?
社会保険制度が福利厚生のひとつであるということがわかりましたね。
しかし、社会保険と一言で表しても実はひとつの制度を示す言葉では無く、いくつもの保険制度を総合した呼び方なのを知っていますか。
ここからは、具体的に社会保険とはどんな保険制度が含まれているのかをご説明していきます。
一般的に求人票等に「社会保険完備」と表記があった場合、下記の保険が含まれてきます。
健康保険とは
まず含まれるのが「健康保険」です。
健康保険は病気や怪我、出産などの事態に対してその費用の一部を国や会社などが負担する医療保障制度のことです。
健康保険に加入をすることで労働者やその扶養となる家族は保険証の交付を受けることが出来ます。
一般的に社会保険と言われて多くの人がイメージするのが、この健康保険だと思われます。
労災保険とは
次にご説明するのは「労災保険」です。
労災保険とは、労働者が業務中もしくは通勤途中に怪我や病気を負った場合に本人やその遺族に対して必要な保険給付を行う制度となります。
また労働者の被災時などの社会復帰促進など、労働者の福祉増進を図る為の事業も行われています。
一般的に労災と呼ばれ、耳にする機会も多い保険です。
雇用保険とは
3つ目は雇用保険です。
この保険は労働者の生活や雇用の安定と就職の促進のための制度となっています。
具体的に活用するのは企業を退職・失業した際となり、教育訓練を受けられる人に対して失業等給付を行っています。
以前は失業保険や失業手当とも呼ばれていました。
企業を退職した際にのみ利用する制度であると思われがちですが決してそれだけでは無く、育児や介護などの理由によって休業する際にも一定の条件を満たすことで給付を受けることが出来る制度なのです。
厚生年金保険とは
最期にご説明するのが厚生年金保険です。
こちらは企業で働く人が加入を行う公的年金制度となります。
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人は国民年金への加入が義務付けられており、老齢・障害・死亡により基礎年金を受けることが出来るようになっています。
厚生年金はこの国民年金に上乗せする形で年金を納付し、年金を受給する際には厚生年金に加入していた期間分のみ国民年金に上積みされて支給されるようになります。
なお、給与から天引きされる厚生年金の金額には国民年金の保険料も含まれています。
社会保険には加入条件があります!
では、この社会保険は必ず全ての企業と全ての従業員が加入を行っているのでしょうか。
実は社会保険には加入の条件が決められているのです。
ここからは、社会保険の加入条件について詳しく見てみましょう。
企業側の加入条件とは?
まずは企業側の加入条件を見てみましょう。
企業が法人事業もしくは、個人事業所であっても常時5人以上の従業員を使用している場合は必ず加入が必要となります。
個人事業所であっても常時使用される従業員が5人未満である場合や、第一次産業やサービス業・士業や宗教業などの一部業種の個人事業所の場合は任意加入となるケースもあります。
そのため、企業は自社の業種等が加入条件に当てはまるのかをしっかりと把握しておく必要があります。
ちなみに社会保険への加入義務を怠った場合、過去2年分の全労働者分の保険料の納付や、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金などのペナルティが発生します。
労働者側の加入条件とは?
では次に労働者側の加入条件を見ていきましょう。
労働者が社会保険に加入するためには、まず勤務先の企業が前述の社会保険の適用事業所である必要があります。
そしてその企業に常時使用されていることが条件となります。
この常時使用されている社員とは正社員のみを指すのではなく、派遣社員やパート・アルバイト等の非正規雇用労働者であっても1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば常時使用となり、社会保険への加入条件を満たす事になります。
また、上記条件を満たしていない場合であっても週の勤務時間が20時間以上30時間未満であれば労災保険と雇用保険への加入が、週の勤務時間が20時間未満の場合は労災保険のみへの加入が可能です。
社会保険料の負担は誰がするの?
社会保険の内容と加入条件についてわかりましたね。
では、企業で働くうえで一番気になるところであろう各種保険料の負担についてご説明していきます。
健康保険と厚生年金は折半
まず、ご存知の方も多いかと思いますが健康保険と厚生年金は労働者と企業が保険料を折半します。
そのため、給与明細等を確認した場合に差引されている健康保険料と厚生年金は同額を会社側で負担していることになります。
労災保険は会社負担
次に労災保険の負担金額についてです。
給与明細を確認してみても控除欄に記載の無い労災保険ですが、保険料は全額企業側の負担となっているため個人の負担は一切ありません。
雇用保険は負担割合分をそれぞれ負担
最期に雇用保険料についてです。
雇用保険の保険料については、定期的に保険料率の見直しが行われ都度改定が行われています。
改定が行われる際に個人負担料率と企業側の負担料率が決定されますので、負担割合が決まっているわけではありません。
保険料変更の際は企業より告知が行われるかと思いますので、告知があった際には給与明細等から金額の変更を確認するようにしましょう。
社会保険についてしっかり把握することが大切です!
いかがでしたか。
社会保険と一言でまとめていても実はいくつもの保険が含まれていたり、負担すべき保険料はバラバラなのです。
しかし、自社がどのような社会保険を揃えているかをしっかりと把握することで、自身がどのような給付や補助を受けることが出来るのかが変わってきます。
受けることが出来る保険を取り残し無くきちんと受給するため、また失業時や自身に何かあった際に問題なく給付を受けることが出来るよう社会保険についての詳細を把握しておくことが大切です。
これを期に今一度自身が働いている企業や希望する企業の社会保険について、調べてみてはいかがでしょうか。
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