未経験でも弁護士に転職できる?資格や仕事内容を解説します
- カテゴリ名:転職の基礎知識Q&A
弁護士とは?
日本で司法制度が導入されたのは明治時代まで遡ります。当時は、「弁護士」という名称ではなく「代言人」と名称が使用されていたようです。「弁護士」という名称が使用されるようになった時期は、19世紀後半の頃です。その後、昭和24年に、弁護士法が制定・公布され、それと同時期に、日本弁護士連合会が結成されました。弁護士の主たる仕事内容は、法律上の権利や利益や人権を守ることです。具体的な業務内容は多岐に亘り、相続問題や交通事故の解決や、また、裁判所において、民事または刑事の訴訟事件に取り組むことがあります。依頼人は、個人だけではなく、法人や地方自体や団体など様々です。
弁護士資格を取得するためには
弁護士は、社会的ステータスが非常に高く、国家資格の中でも最も難易度が高い資格と言えます。そのため、合格率は23.1%(平成27年度)となっており、科目数も多いため独学での合格は大変難しいと言えるでしょう。
試験を受験することのできる日は?
弁護士の司法試験は、年一回(平成29年:5月17日(水)・18日(木)・20日(土)・21日(日)の4日間)と定められています。
弁護士の試験科目は?
短答式試験の試験科目は、憲法・民法・刑法です。
論文式試験の試験科目は、公法系科目(憲法・行政法等)・民事系科目(民法・商法・民事訴訟法等)・刑事系科目(刑法・刑事訴訟法等)・選択科目(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法)です。
試験の内容は?
司法試験には、筆記試験と口述試験があります。さらに、筆記試験には、①短答式試験と②論文式試験があります。筆記試験の目的は、司法試験法に定められています。短答式による筆記試験は、「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定すること」が目的とされています。論文式による筆記試験は、「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定すること」が目的とされています。
弁護士の合格基準
合格者の判定は、短答式試験の合格に必要な成績を得た者について、短答式試験及び論文式試験の成績を総合して行われることとされています。具体的には、試験考査委員の合議による判定に基づいて、司法試験委員会によって決定されることになります。
試験の費用
弁護士の司法試験の費用は、28,000円(28,000円分の収入印紙を受験願書に貼付)です。
弁護士の受験資格の条件は?
受験時において法科大学院の課程を修了し、5年以内であることです。
また、これとは別に、司法試験予備試験に合格した者にも受験資格がありますが、こちらの有効期限も5年間です。なお、受験回数に関する制約(3回まで)は、すでに撤廃されております。
司法試験受験の上限は?
司法試験には、受験資格を得たから、5年間の期間に合格する必要があります。5年間のうちに合格できなかった受験生は法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)への道が閉ざされることになります。受験資格を失った受験生に対しての救済策は現在のところないのが現状です。
日本の大手弁護士事務所とは?
弁護士の4大事務所と呼ばれる大手事務所では、一般の新人弁護士とは大きく状況が異なり、一年目から年収1,000万以上と言われることもあります。しかし、これは超一流といわれる、弁護士の中でもさらに限られた弁護士だけが就職できる事務所の場合であって、決して門戸が広いわけではありません。日本トップの大学を卒業し、かつ、あまり年数をかけることなく合格を掴み取ったような者でなければ入所は難しいかもしれません。
合格に近づく最短最速の勉強方法
勉強方法としては、どれか一つ自分の軸となる教科書を決めて、それを徹底的に読み込み自分のモノにすることがポイントになってきます。あれもこれもと手を出すよりは、一定の水準と分量をクリアしている教材であれば、丁寧に隅から隅までを読みさえすれば、司法試験で問われるような問題は必ず書いてあります。最新の判例や学説についての対策は、基礎を確立してからでも遅くはありません。また、基本書は勉強においてとても重要な教材です。基本書を読む作業が嫌いな受験生も多いようですが、論証フォーム集を覚えてばかりでは本試験に対応しきれない事象も出てきますので、必要な知識が詰まった基本書を是非活用してください。基本書に取り掛かる前に、自分の軸となる教科書を徹底的に熟読して丸暗記できるレベルに達した時に初めて、基本書の内容がスムーズに頭に入ってくるでしょう。基礎を確実に自分にすることが一番の近道なのです。まずは、焦らず基礎固めに時間を費やしましょう。
弁護士資格の有効期限について
弁護士資格は、1度取得してしまいさえすれば、半永久的に有効です。ただし、資格の取り消しがされた場合にはこの限りではありません。
弁護士の徽章
通称弁護士バッジといわれていますが、正式名称は弁護士記章と言います。金色のひまわりの花弁の中央に銀色の天秤が彫られており、ひまわりは、正義に輝く象徴で、自由の羽ばたきを連想させます。天秤は、公正や平等を表しており、弁護士バッジは、正義、自由、公正、平等という弁護士のモットーを表しています。バッジの裏には、弁護士登録番号が記載されており、紛失などの場合は、約一万円の再発行手数料を支払う必要があります。また、弁護士業務を閉じる時や業務停止の処分を受けたときは速やかに返還しなければいけません。
受験勉強にかかる費用
弁護士になるための勉強は、独学か塾に通うことになります。独学でなければ、弁護士の場合、予備校か法科大学院に通うわけですが、法科大学院は2年~3年通うのが一般的です。授業料だけでも年間100万~200万円ほどかかり、そのほか生活費もありますので、貯蓄がなく一人暮らしの場合はかなり困窮した生活になるでしょう。トータル費用は1,000万円以上とも言われており、誰でもが通えるわけではないということが分かります。経済的に断念しなければならないのは後悔も残ってしまいますが、学生割引や早期申込み特典、教育訓練給付金、奨学金制度が使える場合もありますので、調べてみることをおススメします。
司法試験資格取得後は
司法試験合格後またはロースクール卒業後は、基本的には「法曹三者」といわれる弁護士、裁判官、検察官のいずれかの道に進むことになります。弁護士の場合、約一年間の司法修習を受け、司法修習考試(二回試験)に合格して初めて弁護士資格を得ることができるのです。通常は、そのまま法律事務所に就職し、経験を積んでから事務所を開くことが一般的です。なおその後、弁護士から裁判官になる人もいるようです。また、逆もしかりです。
弁護士業務の実情
弁護士業務の魅力の一つが、定年がないことです。体力や気力が続く限りは現役として働くことができるのです。弁護士業務は、依頼者との信頼関係の上に成り立っており、万全の体制で依頼人が有利にはたらくよう全力で務めることが基本にあります。しかし、高齢になればなるほど、依頼者の要求に十分に応えられない可能性があるというのが現状のようです。裁判に向けた入念な下調べなどには、かなりの時間と労力を費やすことも確かです。
弁護士の報酬
弁護士の報酬は、新人からベテラン、開業しているか事務所に所属しているかで大きく異なるようです。日本弁護士連合会による2000年に行われた調査では、平均年収は、1,701万円とされています。この金額は、必要経費などを差し引いた金額であることと、一部の高所得者が平均値を引き上げている実情がありますので、中央値とすれば平均1,300万円と言えるでしょう。また、この中には500万円~1,000万円未満が全体の4割を占めています。司法制度の改定で司法試験に合格する人の数が急増しているおり、仕事不足に陥っている弁護士がいるというのも背景の一つなのではないでしょうか。どちらにしても、現代の弁護士業務は高収入が見込めるわけではなく、司法試験に合格したからといって安定した職を得たとは言い切れないかもしれません。
弁護士に求められるスキルと身につくスキル
弁護士資格を取得することで、さまざまなスキルを身につけることができます。
豊富な法律知識
当たり前の話ですが、案件を消化するごとに、法律知識は比例して増えていきます。なぜならば、案件ごとに必要となる法律知識は異なるため、そのたびに新しい法律知識が身につくためです。
弁護士は未経験でもなれる?転職できる?
弁護士は未経験者でも転職ができると思いますが、国家資格の中でも最も難易度が高く、合格するためには、一日8時間程度の勉強が3年間は必要だと言われています。ですから、思い立ってすぐの転職は難しいですが、目標を立て計画性を持って、根気よく本気で勉強に取り組めば実現できる可能性も広がるのではないでしょうか。
弁護士が向いている人
弁護士は万人に向いている職種ではないと思います。
難関の試験に合格したとしても、それ以降勉強しなくてよいかと言うとそうではなく、法改正があるごとに、スムーズなアウトプットができるようになるまで、ひたすらインプット作業を行わなければいけません。したがって、少なくとも勉強することに抵抗がないことが必要です。
また、決して法律に明るくない個人の相手をすることも多いため、そのような人たちにもわかるような分かりやすい説明をするなど、相手に合わせた対話を行うコミュニケーション能力が大切です。
弁護士への転職の総括
法科大学院の制度が構築されて以降、司法試験合格者が増加したことと合格者のレベルが低下したことで、新人弁護士の就職難が取り沙汰されることがありました。しかしながら、弁護士の活動領域は非常に広く、技術革新などの社会の変化の都度、弁護士に新しい仕事がうまれることは歴史が証明しています。これからも、社会の変化がある限り、弁護士の活躍できる新しい場面があるのではないでしょうか。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitter で仕事を旅するキャリアジャーニーを
フォローしよう!